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刺激になった本:「POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)」 ポジティブな例外探しとそれをどのようにコミュニティに広げるか

今回は刺激的だった本の話。
「POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス): 学習する組織に進化する問題解決アプローチ」
https://amzn.asia/d/fsiYsoh

 
ポジティブデビアンスPDとは耳慣れない言葉ですが、いったい何でしょう?
この本の解説によれば、
「ポジティブデビアンス(PD)とは、同じコミュニティや組織などで、問題が発生している悪条件の現場のなかで良い結果を出している「逸脱者」です。このPDが成果を出したプロセスを問題解決につなげるのがPDアプローチです。」
 
Chat GPTさんにも訊いてみましょう。
「Positive Deviance(ポジティブ・デビアンス)は、社会学やコミュニティ開発などの分野で使われる概念です。一般的な解決策が不十分な状況で、特定のグループや個人が既存の枠組みから外れて成功を収める現象を指します。これは通常、地域や組織内で問題がある場合に、その問題を解決するための新しいアプローチやアイデアを発見する手段として利用されます。」ときました。
 
ポジティブデビアンスの対極として文中で挙げられているのは、「ベストプラクティス」と呼ばれる、上から、外部からの「良いアイデア」。
それは正解であり、王道であり、時には正義でもあります。
その正しさによって有形の抵抗を力業で突破しますが、
文化的、政治的、宗教的な無形の抵抗にあいます。
そして、成立し続けるには外からの資源に頼るので持続可能性がない。つまり定着しない。
 
ポジティブデビアンスPDはベストプラクティスが使えない、無効化されてきた課題に対して、著者たちがどのように解決を見出したか、その記録であり、その手法をつなげていくためのヒントが記されている。
 
この書で例示されるPDの実践例、成功例は、
貧困世帯の子どもの栄養不良、児童の学校中退、病院の院内感染症など、
どれも「どうにかしたいけれど、どうしたら良いってのさ!」と言いたくなるような、困難な課題。
それらにPDの手法でアプローチし、改善をもたらしてきた。
「そんなのごく例外じゃないか!」
その通り。でも変化は例外から生まれる。
 
 
ソリューションフォーカストアプローチSFA:解決志向精神療法という心理療法の技法があります。
問題に注目するのではなく、すでに生じている例外(解決)に注目し、例外とその方の持つ資源(リソース)を活用することで課題解決に取り組むのがその本懐です。
SFAは既にある変化、内在している力を使うことで、変化への抵抗を無効化します。
 
このPDは組織に対するSFAの実践方法を説いたような本だと感じました。
もちろん、この著者たちはSFAを学んだ者ではないし、おそらくSFAの存在すらも知らないでしょう。
しかし、困難な状況から解決を生むため、そういった極限の状況から、
すでに起きている例外探しといった共通のアプローチに至っています。
 
精神分析療法、応用行動分析、認知行動療法、解決志向精神療法、などなど、様々な精神療法がありますが、
それぞれのマスターセラピストたちが一堂に会し、事例の解決のために対話すると、
それぞれが自分の見地に立って発言しあっているにもかかわらず、
対立することなく、和やかにお互いに支持的に対話が進むといいます。
つまり、流派が違ったとしても、変化を生むための真理は同じ境地なのでしょう。
 
 
個人や家族といった手の届く対象に対するSFAと地域や部族といった大きな集団に対するPD。
その両方を知り、定型化できるほどではなくとも、いつかこれを生かして変化を生み出せるようになりたい、と刺激を受けた本でした。

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