人間の価値4 —自分だけにできること—

ひとつ前の記事で小説について書いたからではないのですが、ある共通項のある好きな小説を挙げてみます。

「雪のなまえ」村山由佳
「巡礼の家」天童荒太
「カラフル」森絵都
「西の魔女が死んだ」梨木香歩

上記の作品は、それぞれ何らかの問題をかかえて住み慣れた土地を離れ、ひとりきりで新しい環境に挑戦していくというストーリーです。

体は動くが学校や会社に行けなくなってしまったり、家族といる限り人生が停滞または後退していってしまうと感じたことは、現代日本では多いのではないでしょうか。コロナ禍になったことで唯一、学校や職場を休みやすくなったことは良かったと思ったら、医師の自殺や過労死が増えたり、家族に加害者がいるこどもたちが人の目に触れる機会が減ったりという新たな問題がありました。

根本的に解決するためには、自分のいる環境を変えるしかないとわかっているのに、それができない人がこの国にはとても多いと感じます。その原因としては「自分が悪いわけではないのに移住する=逃げや負けではないか、と感じる」「心が弱った状態で移動するのがつらい」「移住先でもつまづいたら逃げ場がない、他人に頼るのがいやだと感じる」という心的要因が大きいのではないでしょうか。

もちろん最終決断は本人の自由ですが、自殺を選ぶ可能性や過労死という文字が脳裏をかすめるようになったら、私は無理矢理にでも移住してみることが必要ではないかと思います。誰かと同居しているとその世界が全てと感じてしまい、出ていくなど不可能のように思うかもしれませんが、未成年ならたとえ遠縁でも親戚がいれば一度は断らずに迎えてくれる可能性もあるし、地方都市のホームページを見れば「移住サポートプロジェクト」はいくらでも見つかります。

私が以前住んでいた地域は人身事故がとても多く、それを阻止しようとした警官がまきこまれるという事故がおきたこともありました。あなたが死にたいと思った時、あなたがどんな人かも知らずもしかして本人の借金のせいで死のうとしている可能性さえあるのに、無償の愛で救おうとしてくれる人が一人は必ずいるはずだということと、そういった人も犠牲になるリスクがあることについても考えてほしいと思います。

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