開業地域の選定から物件選びまで


初めに

開業地域の選定と物件選びは当初別記事にする予定でしたが、深く考えずに開業地域を決めていたので分量が少なくなってしまい、ひとまとめにしました。

開業地域の選定

結論から言えば現在住んでいる場所でそのまま開業しました。
私は大学卒業まで出身地に住み、2年半東京でロースクールに通い、修習以降は地元に帰ってきました。前々所も出身の市(本庁所在地)にあります。
その後ニート期間を経て前所に入所し、現在住んでいる場所(都道府県は地元と同じ、支部管轄、以下「当地」といいます)に異動となり現在に至ります。
そのため、私の居住地歴は①出身市、②東京、③当地となります。全く地縁のない場所での開業という選択肢もありますが、私の場合そもそも入会のための推薦人のアテがないので無理です。
このうち②東京は流石にないです。そもそも満員電車が無理で地元に帰ってきたのであらゆる意味であり得ません。事実上選択肢は①出身市に戻る、③当地でそのまま開業の2択です。
とは言っても実際あまり悩みませんでした。
当地と出身市は然程遠くなく、ふらっと行くほどではないですが用事があれば普通に行ける範囲です。また出身市は弁護士が当地の10倍くらい居ますし成仏に近づきそうです。家賃も高いです。
このように深く考えることなく当地での開業を決めました。
例えば東京でイソ弁をやっていて結婚もしている方が地元で開業しようと思うとハードルは高いと思います。自由度という意味ではやはり単身身軽であるべきです。

物件探し編

次は当地の中でどのような物件にするかです。
とは言っても当地は都市部のように物件の選択肢は多くないですし、法律事務所として使える面積、形状、立地等を考慮すると更に限定されます。
試しにアットホームで千代田区の貸事務所でその他の条件を指定せずに調べると3500件ほど出てきました。千代田区はオフィスが集中していますから他の23区全てで同じ数はないでしょうが、23区内で開業しようと思うと数万件の物件から選べるということになります。
同じ条件で調べると当地の貸事務所は300件以下です。レンタルオフィスなどというものは勿論ありません。
物件探しの上で重視したのは以下の条件です。
・家賃が安い(できれば10万円切りたい)
・裁判所へのアクセス
・内装工事が不要又は可能な限り少なく済むこと
・形状がシンプルであること
・できれば水回りが共用で掃除とかしてくれること
・10坪くらいはあること
・飲食店の真下又は真上ではない(Gとか出そうなので)
まぁ普通の条件かなと思います。居抜き物件は検索した限りありませんでした。アットホームなどで検索してなんとなく眺めながら上記の条件を満たすか見ていました。
千代田区のように3500件とかあると最初から業者に条件を伝えて探したほうがいいのかもしれません。当地くらいですと適当に眺めるだけで十分探せました。
余談ですが当地で貸事務所を調べると一軒家も出てきました。自宅兼事務所は経費という意味では最安に近いので一瞬検討しましたが、年季の入った一軒家から「弁護士でござい」と30歳の私が出てくるのもなぁということで見送りました。

上記の条件をおおよそ満たす中で家賃が安い順に内覧を申し込みました。
1つ目は15平方メートルくらいの物件です。流石に狭すぎないかと思いましたが家賃が5万円以下という誘惑に屈しました。元々社労士が入っていたらしいのでもしかしたら上手くやればなんとかなったのかもしれません。いずれにしても迷っている間に取られたので気にしても仕方ありません。
2つ目が契約した物件です。面積は17坪ですが、水回り込みなので実際に使えるのは15坪程でしょうか。3階建ての商業ビルで1フロア1テナントです。掲載されていた写真はハッキリ言ってオンボロでトイレも和式だったのですが、トイレと電灯は改修予定という記載があったので内覧の際に大家さんに具体的な改修内容を伺い決めました。
築50年近いので外観は古いですが、改修のおかげで中身はかなり綺麗になっており、トイレも新しいぴかぴかの洋式です。形状もほぼ完全な長方形でレイアウトしやすいのもセンス皆無の私にはありがたいです。欠点としてはエレベーターがないこと、ごみの回収を自分で手配しないといけないことでしょうか。法律事務所で出るごみは大体紙なので溶解に出せば特に問題ありません(多分)。

法律事務所の面積として、弁護士1人で開業する場合10坪あると丁度良いという趣旨の記載が北先生の書籍にありましたが、17坪(実質15坪)のこの物件は正直持て余しています。執務スペースは結構スカスカです。足りないよりずっと良いので全く文句はありませんが単純に面積だけ考えた場合10坪というのは概ね正しい目安だと思います。

終わりに

物件探しは運です。探しているタイミングでいい物件が出てくるかはわかりません。都市部であれば選択肢が多いのでちょっといい物件を逃しても代わりが見つかると思いますが支部管轄となってくると一期一会である程度勢いで決めないといい物件がなくなってしまうこともあると思います。
完璧な物件は中々ないです。あったとしてもそこに入った人は出ていかないので募集がありません。
そのため優先順位を決めることが大切です。具体的には形状や広さは工夫である程度ごまかせるのでやはり家賃と立地かなと思います。内装工事の要否も初期費用の予算によっては優先度が落ちます。
中には綺麗なオフィスビルじゃないと嫌だという方もいると思うので、ここは個人の価値観やこれまでどんなオフィスで仕事をしていたかが出るところかもしれません。六本木のタワーで勤務していた方が場末の商業ビルで開業するのはやはり多少は抵抗あるのではないでしょうか。
立地については可能な限り職住近接がいいと個人的には思います。裁判所へのアクセスもそうですが、例えば独立するのに通勤に1時間かかるのは結構つらいと思います。ただ、私は独身なので適当に事務所の近くに引っ越しても誰にも文句を言われませんが、家族がいるとそう簡単には行かないでしょう。やはり身軽な独身の間に独立してしまうのが一番楽だろうなと思います。


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