独立資金調達編


1.はじめに

Ⅹにもポストしましたが、日本政策金融公庫に申し込んだ結果、400万円の借り入れができました。これにて開業資金と当面の運転資金の調達はすべて終了しました。
そのため、このタイミングで資金調達編として記事にしたいと思います。
なお以下の記載は弁護士1名で開業することを想定しています。

2.目標額の設定(そもそも開業にはいくら必要か)

世にある独立について語る書籍やブログなどを見ると、開業資金+経費の数か月分は用意しようという記載が多い印象です。
じゃあそれはいくらなのという話ですが、経費は家賃がいくらか・人をすぐに雇うのかという点が大きく影響するので各自計算してくださいとしか言えません。一方で、開業資金についてはいかに述べる通り大まかに3パターンくらいは想定できるのかなと思います。

⑴ 最小構成

普通に自宅以外の物件を借りる場合を想定して開業資金を最小にする方法は恐らくレンタルオフィスではないでしょうか。この記事を作成するにあたって簡単にググったところ物件の初期費用は高くても数十万円、什器備品もある程度最初からそろっているようです(机と椅子程度だったりプリンターも利用できたり程度はまちまちでした)。極端に言えばプライベートで使っているノートPCを持ち込めばすぐに開業できる状態である場合もあるかもしれません。
勿論その他の費用もあるでしょうが、50万円を切ることも不可能ではないと思います。

⑵ 最大構成(私が知る限り)

一方、高くしようと思えば無限です。私が知る限り弁護士一人で開業する場合で800万円かけた人を知っています。この金額を聞いたのは確か1年目の時でしたが、正直「正気か?」と思いましたし今も思います。その先生は当時10年目くらいだったので経済状況は今の私とはわけが違いますが…
数回事務所を拝見したことがありますが、ビルは新しくはないものの綺麗でしたし、内装工事もしっかりしていました。テーブルや椅子も結構高級感ある感じでした。広さは正直記憶がありませんが風の噂で事務員を3,4人雇っていると聞きましたので割と広かったのでしょう。恐らく特定の何かにこだわったというよりすべてにおいてケチっていなかったという感じだと思われます。

⑶ 通常構成(?)

上記の最大構成は極端にしても、例えば保険会社のビルのようなオフィスビルですと、保証金だけで家賃の6か月分とか1年分を平気で求められます。ビルの中で小さい部屋を選び家賃が10万円代前半でも100万円から200万円かかってきます。
また、内装工事も広さや空調の問題によりますが安くとも数十万から100万円程度は要するでしょう。ググっても内装工事費用はよくわからないのですが、什器備品込みで170万円程度というページが見つかりました。その事務所は弁護士一人ではなかったので什器備品が多少かさむとして工事だけなら100万円程度でしょうか。
その他什器備品もどこまで金をかけるかという問題はありますがここも少なくとも20万円以上はかかるのかなと思います。
ホームページ作成費用なども考えると300万円程度は普通にかかってもおかしくないと思います。

⑷ キモオタは?

詳細は別途記事を作成しますが、私も開業費用だけで300万円程度を想定していました。しかし、実際に要した費用は見落としがなければ130万円程度でした。よくある3階建ての商業ビルの3階を借りました。将来の記事のネタバレになりますが初期費用は48万円くらいでした。
これ以外で内装工事もなく80万円は意外とかかっていますね…
現状おもちゃでしかないipad proを業務に用いるとして含めても150万円前後です。そのため、最小構成以上通常構成(?)以下という感じです。
想定よりは安く済みましたがやろうと思えばまだケチれたと思います。見漁ったデスクツアー動画の影響を受けています…

⑸ 結局目標額は?

開業費用として300万円は見たほうが良いと思います。
最小構成や私のようにケチれるかは開業予定地や物件の状況にも左右されると思います。また、私も気をつけてはいましたが、やはり独立による高揚感を完全に抑えるのは難しく、どうしても気が大きくなって支出が膨らんでしまいます。
最大構成をとる人はそもそもこんな記事は見ないでしょうから気にしないことにします。
ちなみに日本政策金融公庫作成の「2023年度新規開業実態調査」によると開業費用の中央値は550万円とのことです。やはり弁護士は開業しやすい部類に入るのでしょうか。


3.目標額をどう用意するか(したか)

⑴ 預貯金

これで済めばそれに越したことはないですね。私は無理でした。これでやろうと思ったら独立まであと5年はかかったと思います。

⑵ 個人事件で稼ぐ

私は基本的にこれです。前所から予想外に高額なボーナスが出ましたが、アテにはしていなかったのでこれがなくても開業資金を賄えるようにしていました。
個人事件の取り方は様々と思いますが、私はココナラで広告を出しました。有料掲載を始めて半年程度で退職を表明できるほど上手くいくとは思っていませんでしたが、極論あと1年くらい準備に使っていれば金銭的にはかなりの余裕をもって独立できたかもしれません。とはいえそれだけの期間開業と無関係な浪費を抑えるのは私には難しいので結局似たようなものだった気もします。
開業後に広告を出した場合のイメージもできるので悪くない方法だったかなと思います。
役所の相談やらなんやらからの受任はありませんでした。lacも登録しましたがアレな感じばかりだったので受任はせず、すぐに登録も外しました。アテにならないと分かっただけヨシ!管財は私にできるわけがないこと、自分に来るものは金銭的には国選よりはマシ程度のものでしかないだろうことから名簿登録もしていません。

⑶ 借りる

家族からでも政策金融公庫からでも普通の金融機関からでもいいですが、とりあえず資金が用意できるようになります。家族以外は自己資金を要求されるので全額を賄うことはできませんが、手元の現金の数倍は借り入れできるので急ぐのであれば検討すべきと思います。
また、単純にお金が増えるのはたとえ借り入れでもひとまず安心できるのでとりあえず借りておくのが良いと思います。
ただし、私は奨学金の借金が50万円くらいしかなく、既に残額は10万円を切っているほか、修習の際の借り入れもしていない(実家に転がり込んで13万5000円でやり過ごしました)ので、この辺りの感覚は一般化できないかもしれません。
政策金融公庫については以下に述べますが割と貸してくれます。

4.政策金融公庫からの借り入れ

税金の差し押さえの履歴があっても貸してくれます!
これを書きたいがためにこの記事を真っ先に作成しました。

上の画像は2022年、下の画像は2023年です。この履歴は政策金融公庫にしっかり開示しています。
ググった際に信用情報機関の情報には税金の滞納や差し押さえは影響しないと出てきましたが、どうやらマジです(仕事で信用情報機関使ったことなかったので常識かもしれませんが許してください)。
ただし履歴がある分には問題ありませんが現在進行形の滞納については影響するか否か不明です。私は納税証明書を取り寄せてフォローしました。
申し込みは創業計画書を書いたり、資料の取り寄せを要するので結構面倒です。ただ、創業計画書は多少ガバガバでも面談でフォローできます。
私の場合ですと、12月7日に申し込み、20日に面談、1月5日に融資の決定が送付されました。必要書類を公庫に送付すると到着から4営業日後以降に入金されるらしいです。
担当の方からは申し込みから1週間後の面談日程を提示されたのですが、私がその時体調を崩しており20日になりました。また、面談の場で担当の方からうまくいけば29日に通知が届くかもと言われました。
そのため、通常時であれば申し込みから1週間程度で面談、そこから10日から2週間で結果の通知がされる感じと思われます。書類の返送次第ですが、申し込みから1か月程度で入金まで進みますね(地域差は不明です)。
他の金融機関には申し込んでいないのでこれ早いか遅いかはわかりません。
借りられるのは開業費用と運転資金〇か月分の合計額から自己資金を差し引いた額という感じです。
私は自己資金を150万円、開業費用を120万円、運転資金を408万円として申し込みました。運転資金は1名雇用する前提で6か月分にしました。申込金額は378万円ですが切りよく400万円になりました。

余談ですが、面談の場で広告出して自己資金を稼いだと言ったら「それはもう開業しているんじゃないんですか?」と聞かれたのはちょっと驚きました。言われてみれば世間一般では確かにそうかという感じですが、この業界でこれを開業しているとは言わないのでビビりました。創業融資の対象は開業前又は開業2年後以内(多分)なので私の場合はどう扱われても特に影響ありませんでしたが、長期計画の方はこの点フォローしないと融資の内容に影響が出るかもしれません。

5.おわりに

借り入れが通った安心感で一気に書き上げました。手元の現金はいくらあっても困ることはありません。貯金は時間がかかりますし、個人事件は運が絡みます。借り入れは不安はありますが政策金融公庫は差し押さえの履歴があっても貸してくれるくらいなので金策として積極的に検討してよいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?