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セゾン投信の内紛劇から分かる国産独立系アクティブファンドのレベルの低さ

昨年のことだが、セゾン投信会長の「積立王子」こと中野晴啓氏が親会社クレディセゾンの創業者で会長の林野宏氏と対立しセゾン投信を退社したことが話題になった。

この経緯は解任された中野氏からの発信によるものなので真偽のほどは分からないが、投資界隈では概ね中野氏に同情的なようだ。

中野氏からの発信記事を元に個人投資家としてこの件をどう見ているのか、息子である君に伝えるために記事に残しておきたい。

なお、そこそこ辛辣な意見なので「積立王子」ファンは見ない方が良い。

この解任劇に対する結論は表題のとおりだ。顧客を置き去りにした運用側と販売側の内紛劇に過ぎないと考えている。

また解任された側の肩を持つ日本の投信業界がいかに低レベルかがよく分かるいい事例だ。

国産の独立系アクティブファンドには投資していないが、こういった話を聞くと今後も投資することはないと思う。

この騒動から分かるのは解任した側もされた側も真剣に顧客のことを考えていないということだ。

解任した側のクレディセゾン側は子会社であるセゾン投信に対して残高を現在の6000億円程度から数兆円にすべく販売拡大せよと迫っていたとのこと。

しかし急激な拡大を販売強化により実現するのは、手数料稼ぎの投信販売をしている金融機関を批判してきたセゾン投信にはそもそも合わない。

この時点でクレディ側は販売重視で顧客利益のことは考えていないことがわかる

では解任された側はどうなのだろうか。

中野氏は、相場の変動に左右されにくい「長期・積立・分散」という投資手法について全国を飛び回って講演し広めきてた。そしてむやみに販売を拡大する方針に従わなかったそうだ。この点からは顧客のことを考えているように見える。

しかしとてもそうは見えない。
彼が運用する投資ファンドは、一番大事にしなければならないリターンがS&P500に負けている(以下SBI証券サイトで比較)。

これはおかしい。投資初心者に啓蒙して積立王子などと呼ばれ、気持ちよく全国を飛びまわっている場合ではナイ。

単なるセミナー講師ではなく顧客から高い手数料をとっているファンドの代表であればリータンを向上させることが使命のはずだ。

手数料の安いインデックスダンドにリターンで負けているということは、そのファンドの存在意義はないに等しい。

結局、どちらも自分たちのやりたいことや収益のことを考えて一番大事な顧客にとってのリターンは置き去りにされてしまっている。

逆に顧客にとって利益になること、つまりインデックスファンドのリータンをぶっちぎりで凌駕するリータンを叩き出していたらどうなったか?

おそらく黙っていてもいろいろな投資媒体やインフルエンサーが宣伝し顧客と残高は増えるはずだ。

そうすればクレディセゾンが望む残高拡大も実現し、中野氏は解任されることなく三方丸く収まったはずである。しかし現実はそうはならず解任劇につながった。

もっとも、セゾン投信に限らず国産ファンドの代表者やファンドマネージャーの多くは似たり寄ったりの状況だ。

インデックスファンドに負けるようなポンコツなリターンなのに、理念を語り投資家を煙に巻こうとして必死だ。例えば以下のようなワードがそうだ

・ライバルやベンチマークはTOPIX
・ベンチマークはなく相場が悪くてもプラスにスル
・日本企業に投資するファンドを応援すべき
・経営理念と経営が素晴らしい企業に投資すべき
・インデックスに負けるハズない(勝った実績無)
・暴落しても自社ファンドは大きく下がらない
・経営理念に共感して投資してほしい
・インデックス投資は思考停止で出世しない

ハッキリ言ってこういったセリフはすべて論点ずらしの言い訳にしか聞こえない。息子である君には無視するよう警告しておきたい。

自分が彼らに言いたいことはただ一つ。

客から金をもらっているプロなら能書きの前に結果を出すべきだ。


世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏は世界中の投資家からリスペクトされているが、それは彼の理念が素晴らしいからではない。

パフォーマンスがインデックスをはるかに上回る素晴らしいリターンだからだ。彼のパフォーマンスがインデックス以下であればどんなに立派なことを言っても誰も注目しないしリスペクトされない。

いくらお菓子メーカーの理念が立派でも不味いお菓子を買わないように、能書きが立派な低リターンファンドを売り込もうとしても無理があるのだ。

金融機関の手数料稼ぎファンドも酷いが、理念という能書きだけ立派でリターンの悪い上にインデックスファンド下げ発言を繰り返す独立系ファンドも同じようなものなのでどちらも残念な話だ。

なお、バフェット氏は妻に対し、自分の死後は経営する投資会社にではなくS&P500インデックスに投資するよう薦めている。

日本人は謙虚だと言われるが、こと投資の世界においては当てはまらないようだ(いつから日本人の民度はこんなに低下したのダロウ)。

ながながと説明してきたが、自分は国産アクティブファンドの多くがこのようなレベルの低い状態であると思っているので、同じ日本人であっても応援も投資もするつもりはない。

今回はセゾン投信について記事にしたが、セゾン投信はまだマシな方かもしれない。

もっと残念なファンドもあるので随時伝えようと思う。紹介するのは恥ずかしげもなく上記のワードをバラまいているファンド群だ。

まだ学生である君に親として忠告しておくが、社会人になってパフォーマンスが悪いのに能書きだけ垂れる人間は一番嫌われるから注意した方がいい。

自分の評価を上げるためにライバルの悪口を吹聴するのも同様だ。

パフォーマンスが悪いのに立派な理念だけ語りプロとか言ってドヤ顔できるのは投資の世界くらいだ。

追記
件の中野氏は最近新たなファンドを立ち上げたようだが、実績が出る前から以下のようにインデックス下げ発言をして投資家の不安を煽っている。

自分の中では残念を通り越してヤバい人にしか見えない。

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