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新NISAで大人気なオルカンとS&P500の致命的な弱点

オルカンは、日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指して運用される、インデックス型の投資信託です。 具体的には、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(MSCI ACWI)という株価指数との連動を目指します。

出典:インターネット検索結果

三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式」(通称オルカン)は同じく同社の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」とならび新NISAで人気を二分する投資信託だ。

同社以外にも同じように全世界株式に連動する投資信託があり、今の投資ブームのメインロードとも言える商品である。

今回はこのオルカンの持つ弱点について息子である君に伝えておく。そしてそれは父親である自分がなぜ90年代以降の株価低迷期に耐えてこれたのかの説明にもなるので聞いておいて欲しい。

なおオルカンは優れた商品なのでこれを否定するワケではない。弱点をよく理解した上で投資することが重要だ。

ちなみにこの弱点はオルカンだけでなくS&P500をはじめインデックスファンド全般に共通するものだ。

弱点とはその商品特性から下落相場、特に30%以上も下落するような暴落相場が来た時、心理的に保有を続けるのが難しいことだ。
(なので正確にはオルカンの弱点というより投資家心理の弱点と言うのが正しいかも知れない)

それも投資初心者であればあるほど難しい。

理由の一つ目は無配当の投資信託であることだ。
オルカンは配当を再投資して積み上げていくので本来は四半期や半期に受け取る配当をリアルに手にすることが出来ない。

暴落相場では急激に資産額が目減りスル。
何年も年々も必死で積み立ててきた金額がみるみる減っていく。

車の買い替えを我慢し、ブランドバックの購入を我慢し、推しのライブを我慢し、旅行を我慢して投資してきた資金が半分以下になるのだ。

投資をはじめたばかりなら数万、数十万で済むだろうが、積立てて10年後、20年後の暴落だとその金額は数百万、もしかしたら千万単位になるかもしれない。

もうな、絶望感しかナイぞ

リーマンショック級の暴落だとまるで富士急ハイランドの絶叫コースターで落ちていくような、あるいは真夏のソフトクリームが溶けていくような感じだ。さらに円高とセットだと加速度は倍速にナル。

ジェットコースターであれば恐怖とセットで爽快感が味わえたりするが、相場の下落に爽快感はない。ひたすらイヤな冷や汗が噴き出すだけである。

そんな中で配当は投資家の心の支えになる。そして暴落時でも株価の下落ほど減らないことが多い。

リーマンショックの時は株価の下落率は50%以上だったが、配当は確か20~30%程度の減少にとどまったはずだ。

個人的な話をするとコロナショックでは株価は30%下落したものの自分の受取配当は減るどころか増えていた。

株価ほど配当が減らなかったのと為替が円安に振れていたからだが、おかげで動揺することなく投資を継続することができた(おかげでゴッソリ買い増ししていたのはナイショだ)

資産が減っても定期配当があまり減らなければ心理的不安は相当軽減される。

しかしオルカンはこの配当がないため、下落にひたすら耐えなくてはならない。正確には配当は出ていて再投資されているのだが、その存在がリアルに体感できないのだ。

理由の二つ目はオルカンの中身が見えづらいこと。
相場の下落時でも個々の銘柄単位ではそれほど下がらなかったり、上昇する銘柄も存在スル。

不況時に強い生活必需品や医薬品、電力やガスなどの公共財がそうだが、これらすべてがパッケージされひとつの商品になっているオルカンはそれが分からない。

全世界の数千社の銘柄で構成されている商品なのに、あたかもビットコインやゴールドのような単一商品に投資してどんどん値下がりしているように思えてしまうのだ。

君の父親が株価低迷期に投資を続けることができた理由はまさにコレで、ファンドではなく複数の個別銘柄に分散投資していたことが幸いした。

市場が下落しているのに、上昇していたり増配するような銘柄が存在していたのだ。ひとつ二つでもそういう銘柄があるということは投資自体への信頼感の崩壊を止めてくれる。

コレが全ての銘柄がモレなく暴落して減配や無配ばかりだったら、おそらく心が折れて投資は継続できなかったダロウ。

暴落相場というのは実体経済の不況を連れて仲良くやってくる。

それは非正規雇用者の派遣切りや解雇が横行し、正社員であってもリストラ、早期退職、給与カット、業績挽回のための無茶なノルマとパワハラ増加、果ては勤務先の倒産、吸収合併、転職市場の縮小などがモレなくセットでやってくることを意味スル。

某ハンバーガーチェーンの商品であるハッピーセットの逆である。そしてそんな状況でマスコミは世界経済が終了するかのごとく報道し恐怖心を倍増させる。

ただでさえそんな心理的に余裕のない中で、いつまでも下げ止まる兆しの見えないオルカンを辛抱強く保持し続けられるほど多くのニンゲンのココロは強くない。

数年もこのような下落相場が続けば、「やっぱり荻原博子氏は正しかった! もう投資なんてやらない」となったり、「厚切りジェイソン氏に騙された‼亅と他人に責任転嫁したりして泣く泣く撤退する。

まして暴落時にさらに追加購入することができるニンゲンはほぼいない。アゲ相場であれほどドヤって投資をススメたYouTuberやブロガー、インフルエンサーはいつの間にかフェードアウトだ。

だからオルカンに投資を続けて資産を築くというのは巷で言われるほど簡単ではない。

相場が上がり調子の時は、にわか投資家が沢山湧いて出て、YouTubeやブログで配当は税金がかかるから投資信託がイイとか、レバレッジをかけるべきだとか訳知り顔でドヤる。

しかし投資のキモは下落相場をどう乗り切るかが重要なのだ。

オルカンへの投資は意外と難易度の高い戦略だと理解した上で投資した方が良い。くれぐれも暴落の恐怖をナメない方がいいぞ。

※掲載する情報は投資勧誘を目的としたものではありません。株式などの金融商品や不動産の取引は損失を出す恐れがあります。

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