見出し画像

講義型ネイティブの授業改善(前提の整理ということ)

 今となっては、生徒主体の授業構築が市民権を得るようになりましたが、私が授業改善に取り組み始めた頃、先生方は「アクティブラーニングって何?」、生徒さんは「予備校みたいに大学進学のための効率的な授業をしてください」が主流でした。そういうわけで、「前提を共有すること」がとても大事…。

◆「正解がない」を整理する
①人口増加時代、工業社会の価値観
 ・間違いはないけど、正解はある。
②人口減少時代・脱工業社会の価値観
 ・正解はないけれど、間違いはある。

 少し前のセンター試験の選択肢(とくに国語)だと、すべての選択肢に正解の要素があります。いわゆる「ひっかけ」ですね。これが「間違いはないけど正解はある」ということ。
 一方、小論文には「採点対象外」があります。出題の意図から外れた答案は0点。これが「正解はないけど、間違いはある」ということ。

◆過去の成功体験はすべて失敗につながるということ
 日清戦争・日露戦争に勝利し、第一次世界大戦で領土利権を獲得した日本は、「どう考えても勝利が見込めないアメリカとの戦い」に踏み切ります。
  
 対米戦がセンター試験であれば、選択肢は5つあります。その一つに「戦いを有利に進めて短期で講和する」が存在しました。ちなみに、これは「ひっかけの選択肢」になりました。多くの人が選んで×になるです。
 対米戦は「小論文」でした。そして「出題の意図から離れた答案」を書き、採点対象外になります。これが、「正解はないけど間違いはある」ということ。

 つまり、対米戦に対する判断には大きく二つの間違いがあったと言えます。
①前提の間違い
 対米戦は、「次の選択肢から最も適切なものを選んで記号で答えよ」という問題ではない。「自国の未来だけでなく、人類に共通する倫理も根拠とした考察を示す問い」、つまり小論文的なものである。
②根拠の間違い
 明治維新以降、「大国との戦争」に勝ち続けたことが、アメリカの工業力などの客観的データを根拠とした考察を否定し、「過去の成功体験・精神論」を根拠とした発想を導き、これを正解と断定した。

◆根拠の重要性
 ①人口増加時代の価値観
  根拠はないけど、結論はある。
 ②人口減少時代の価値観
  結論はないけど、根拠はある。
 
 人口増加・高度経済成長時代って、「根拠はなくても未来に希望を持つことができた時代」なんですね。3丁目の夕日のテーマです。
 人口減少・低成長時代はこれが逆になります。「環境問題・戦争・貧困・人口減少などの社会課題(根拠)はたくさんあるけれど、それをどのように解決するか(結論)はわからない」なんですね。不都合な真実です。
 昔は、銀行に入れておけばお金は増えました(利子が高かった)。つまり、問題を放置しておくことも解決の手段として有効でした。
 今は、銀行に入れておくことはお金を減らします。銀行金利より物価上昇率の方が高いですから、放置は実質目減りです。
 ではどうすればよいかに正解はありません。

◆前提の整理が重要ということ
 これにつきます。
 ここの整理が弱いと、カオスになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?