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突然吹奏楽部の顧問になる(15)

 吹奏楽コンクール地区予選は銀賞でした。
 しかし、そのことが部員の心に火をつけたようです。
 2週間の練習を経て、いよいよ県大会です。

早速結果から

 演奏順は、最後から3番目。会場は満員で、とても楽しく演奏できました。最後の音が響いたあとの会場の空気と拍手には手ごたえを感じました。
 結果は金賞。
 その後、上位4校、つまり地方大会出場団体の発表です。
 発表は、演奏順。
 3校の発表が終わった段階で、F高校の名前はまだ呼ばれていません。
 そして、3校目の後、金賞の学校はF高校しかありません。
 代表です。県大会突破です。部員は号泣していますが、まだF高校の名前は呼ばれていません。
 名前が呼ばれた時、歓声を上げる部員はいませんでした。もう声が出る状況ではないようです。
 私自身は、うれしいというよりも、ホッとしたという気持ちです。
 部員の頑張りが報われてよかった。部員の演奏が認められてよかった。
 ただ、それだけです。

結果の詳細は

 結果発表が終わると舞台裏に行き、部長・副部長と合流します。
 地方大会出場の書類を受け取り、演奏順の抽選です。
 そして、部員と合流します。ただ、他の参加校も集まってミーティングをしています。代表を逃して、重い空気の高校もいます。その前で、過度な喜びを煽るわけにはいきません。
 私は、部員に感謝を伝えました。そして、ここまでいろいろあったけど、音楽も努力も、方向性は間違っていなかったこと、それが認められたことは自信を持ってよい。ただ、いろいろを支えてくれた人がたくさんいる。その人に感謝を伝えてください。と短く伝えました。
 F高校は4位通過です。その頃、「三金制度」というものがありました。全国大会に3年連続で出場した学校は、一回休みになります。今年は、県内で全国常連のM高校が三金・一回休みでした。つまり、枠が一つ空いたことになります。そこに滑り込んだのです。
 更に言えば、F高校と同点の学校がありました。同点の場合、審査員の投票になります。審査員5人のうち、4人がF高校に投票してくれました。
 よかった…。
 よかったのですが、顧問としては喜んでばかりはいられません。
 部員、保護者が喜び、学校長や、F高校吹奏楽部OBの顧問の先生方が満面の笑みでその様子を見守る中、地方大会の準備や、お盆明けの課外講習のことが頭をよぎります。ちなみに、来週末は合唱の県大会の引率もあります(合唱の指揮者は外部から招いています)。
 何せ、吹奏楽・合唱の顧問は、私一人なんです…。

この後のスケジュールを整理する

 吹奏楽コンクール県大会の今日は、8月上旬の土曜日。このあとは…
 ・お盆の週末     合唱コンクール県大会(NHK)
 ・お盆明けから    後期課外講習開始
 ・お盆明けの週末   合唱コンクール県大会(合唱連盟)
 ・夏休み最後の週末  吹奏楽コンクール地方大会
 ・9月1日      2学期開始
 ・9月上旬の週末   合唱コンクール地方大会
 
 お盆明けの課外講習が始まり、合唱が県大会を抜けました(合唱連盟)。
 課外講習は「国公立2次の記述対策」。
 午前は「現代文・古文」、午後は「課題曲・自由曲」の日々が始まり、並行して、大会のための「移動・宿泊・練習場の手配」「遠征費の申請」なども進めます。旅行業者との打ち合わせ、保護者宛文書・県外遠征届などの書類作成もあります。

身体の不調に気づく

 合奏をしていると、チューバなど低音が足りないような気がするのです。指揮をしながら、低音楽器に「もっと出して」と指示をします。
 しかし、録音を聞くと、低音はしっかり出ています。ん?
 そういえば、県大会の講評に「低音が充実していてよい」とありました。
 保健室に行き、聴力検査の機械を出してもらいました。
 右耳が聞こえにくくなっているようです。低音が聞こえませんでした。保健室の先生に耳鼻科の校医を紹介してもらい、夕方の予約を取り、診察を受けると、「最近、めまいや耳鳴りはしませんか」と問われました。
 「します…」。最近というか、県大会前頃から続いています。
 特に耳鳴りは、午後か夕方になると始まって、朝起きたらおさまっているという感じです。もう、慣れましたけど。
 「お忙しいですか」
 「まぁ」
 「身体を休めてください。お盆休みは取れましたか」
 「いえ。部活動の大会があって、あまり」
 「休みは取れますか」
 「来週末、吹奏楽の地方大会があります。それが終われば少し」
 「温泉にでも行ってください。あと、車の運転はしますか」
 「します。通勤で毎日」
 「…。できれば、避けてください。」
 今冷静に考えれば、この時診断書を書いてもらい、指揮者を降りるべきでした。そして、楽器指導をお願いしているOB音楽家に、地方大会の指揮をお願いすればよかったのです。
 しかし、もう、そんなことを考える余裕もありませんでした。
 そして、地方大会に出発する日になります。
 こんな感じです。
 ・金曜日 午前 課外講習
      午後 合奏
      夕方 バス移動(幸い、隣県×バスで2時間です)
      宿泊
 ・土曜日 午前 宿泊先のホテルで練習・移動
      午後 本番・結果発表
      宿泊
 ・日曜日 バス移動  
 
 後から部長に聞いたのですが、移動のバス車内で、私、爆睡していたそうです。
                   つづく…
 

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