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愛しの上海 de ロックダウン 回顧録 #4

マンション入口で待ち構えていた医師やナース達に再度健康チェックを受け、荷物に消毒液を吹きかけられ、14日間の隔離説明を受けた。元々中国国内にいる夫は隔離の必要はなかったが、同居する為道連れ隔離となった。
 
晴れて自宅に戻ったが、これから14日間玄関から1歩も外に出れない日々の始まり。我々より少し後に入国した人々の中には、逃亡防止の為自宅玄関のドアの外側にセンサーなどを設置されたりもした。ゴミ出しは毎日指定時間に玄関外に置くと、マンションスタッフが回収しに来て消毒液を吹きかけまくり、その匂いが室内にも充満するほど。ナースに毎日朝と夕方家族全員の検温結果をメールで報告し、隔離最後の2~3日はナースか医師が朝夕直接訪問検温し、もし37.3度を超えた場合はどんな処遇が待っているのかという恐怖との戦い。幸い家族皆元気で一つ屋根の下で寝食を共にし、食事はレストランからデリバリー注文も可、夫はテレワーク、子供達はオンライン授業で14日間はあっという間に過ぎた。
 
晴れて隔離終了証明書も発行され、いざ外界へ出発。まだ公共交通機関を使うのも憚られ、子供達と徒歩で行ける大きな公園へ行くと、丁度色とりどりのチューリップが満開に咲き誇る花壇が造られていて大きな癒しと希望をもたらした。
 
しかし2020年3月下旬、既発行ビザが無効となり現状国外にいる人々が中国へ入国出来なくなった。事実上の鎖国。海外発着便を大幅に減らし、首都北京へのウィルス侵入を防ぐため、海外からは上海や他の大都市への入国のみとなった。鎖国前に上海に戻って来れなかった日本人家族がどれだけ多くいた事か。人々は夫は上海、妻子は日本という長きに渡る離れ離れの生活を余儀なくされた。

つづく

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