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Du Vert au Violet|架空のアブサン酒〜限定版シリーズ《青色と緑色》

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Text|KIRI to RIBBON

 画家・永井健一さまの絵画作品が封入された「架空のアブサン酒」限定版シリーズでは、ルネ・ヴィヴィアンとヴァージニア・ウルフ、ふたつの題材を扱っています。

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 今回ご紹介するのは、ヴァージニア・ウルフの珍かな散文《青色と緑色》を題材にした全4種。ウルフ没後80年、そして《青色と緑色》発表からちょうど100年目にあたる2021年——本作にてオマージュを捧げたいと思います。
 五感を巧みに刺激する散文を清流のように写した維月 楓さまの翻訳と共にどうぞゆっくりお楽しみ下さい。


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底本|A Haunted House: The Complete Shorter Fiction of Virginia Woolf, Vintage Classics, 2003

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 ウルフの散文を辿って旅した永井さまの記録。
 「一方で硬質ガラスは大理石の上に滴る。」——維月さまの絵画的な言葉選びに刺激されるように、永井さまのペン先から幻想世界が広がっています。

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 ガラス壜の向こう側にスモーキーに浮かぶ、淡いアブサン色。
 光の加減で作品の表情が変化するので、季節ごとに飾る場所を変えてみるのもオススメ。「架空のアブサン酒」限定版は、絵画作品をより身近に感じて頂けるよう、飾りやすいサイズ感で展開しています。

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 壜には原文の一節が貼付されています。
 ベロアリボン、刺繍糸もアブサン色で統一された壜の装飾。

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 トレーシングペーパーの原文と風合い豊かなフランス製MBM木炭紙に刷られた訳文を重ねると美しい透け感が生まれます。作家に寄り添う維月さまの訳業がそのまま情景になったかのよう。

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 「緑の針」を手掛かりに、ペパーミントとニガヨモギでソリッドなアブサン酒の薬草感を表現。鋭利な香りにゼラニウムが丸みを与えます。ペーパーサシェは渋いアブサン色とアブサンがかったグレイ、白のシックな配色。

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 移り変わる「緑色」の情景をビス留めするように鸚哥を捕らえて、そこから描写を膨らませた永井さまの絵画作品。アブサンスプーンに乗せられる角砂糖を手に語らう場面に、ウルフも微笑んでいることでしょう。

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 情景の機微を細やかに捉える維月さまの筆のリズムが、そのまま永井さまのペン画に写し取られたかのよう。

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 壜の装飾は永井さまの色使いと同じ配色のグログランリボン。刺繍糸と封蝋タッセル、タグは深いアブサン色で統一。封蝋はガラスに接着していないので、タッセル状に揺れます。

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 ポプリは同じく、ペパーミント、ニガヨモギ、ゼラニウムほか約10種の天然原料を調合。一ヶ月以上熟成したものをサシェに封入しています。

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 サシェは開封せず、ポプリが入った状態で壜の中で保管して下さい。

 ポプリは、天然原料を生かしたやさしい香りを目指して調合・熟成させています。そのため、サシェ自体から強い香りを発することはありません。標本壜にサシェを入れておくと、サシェから香りが広がり、壜内に充満します。壜内に満ちた香りを楽しむポプリとなりますので、壜に入れたまま保管して下さい。



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 聖母のベールから咲く「一叢のブルーベル」。灯火を慈しむように添う花びら。「錆びついた鉄」の色から「メタリックな青色」を経てアブサン色へ溶けるグラデーションがしだいに立ち籠め、生を謳う舞台を整えます。
 維月さまのモダニティ冴え渡る訳語が画家の色彩を走らせます。

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 雨曇りのやわらかな光を受けて、しっとり沈むガラス越しの原画。スワロフスキーの青色もやさしく煌めいて。

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 ガラス壜は、薄い青色のベロアリボンと、「錆びついた鉄」の色から「メタリックな青色」へと色調を変える刺繍糸で装飾。原文の一節も貼付されています。

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 フランキンセンスとサンダルウッドの調和が「聖母たちの薄布」を揺らし、真正ラベンダーが「メタリックな青色」をいっそう冷たくし、ベチベル草が「錆びついた鉄」の鈍さを響かせます。

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 奥には聖母らしき女性、手前には行き先を示す女性。しかし、二人の女性ではなく、二つの時間に存在する聖母の姿かもしれない。交差する時間のように重たげな「青色」に鱗が重なり、複雑なマチエールが散文の陰影を讃えているかのよう。

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 壜を装飾しているのは、永井さまの原画の色彩に合わせて選んだ青色に銀の縁取りのあるシェニール・リボン。タグにはヴァージニア・ウルフの頭文字「V」「W」を花文字風に配置して。

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 ポプリの香りがこもるガラス壜は、蓋を閉めていれば香りは外にもれません。サシェやロール状の原文・訳文が収納されている雰囲気は、アブサン酒に様々薬草が調合されている様子をイメージして。

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 サシェには同じく、フランキンセンス、サンダルウッド、真正ラベンダー、ベチベル草ほか、約10種類の天然原料が調合されています。

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 健やかに訳出された散文と共に、架空のアブサン酒を味わい尽くして下さい。

 訳詩、絵画、ポプリが奏でるアブサンの一滴、お楽しみ頂けましたでしょうか。限定版《青色と緑色》シリーズ全4種のご紹介でした。限定版シリーズはこの他に、ルネ・ヴィヴィアン《死の虹》全5種がございます。

 維月 楓さまによるヴァージニア・ウルフと《青色と緑色》の解説は、モーヴ街3番地の図書館「モーヴ・アブサン・ブック・クラブ」の以下の記事をご高覧下さい。ウルフへの時を超えた書簡のような実験的な試みの解説をご堪能下さい。



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ブランド名|Du Vert au Violet

作品名架空のアブサン酒〜限定版シリーズ青色と緑色・4種



文|ヴァージニア・ウルフ

訳|維月 楓
 *新訳
絵画|永井健一

ポプリ&装飾|霧とリボン


封入物|
絵画(アクリル・アルシュ紙・イラストボード)
原詩と訳詩(ロール状・リボンリング留め)
ポプリ入りペーパーサシェ(天然原料のみ使用/0.5g入×3個)
装飾|
ベロアリボン・オリジナル封蝋タッセル・タグ・刺繍糸・原詩引用シール
外装|
ガラス壜


制作年|2021年(新作)


*別ショット画像、各サイズや材料などの詳細はオンラインショップに掲載しています
*本物のお酒ではありません。

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