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凶器の始末はオレにまかせろ

 使用した凶器をどうやって片付けるかという問題。そもそもが凶器を片付ける必要はあるの? 読者からの鋭い突っ込みもあるかもしれぬ。

○凶器を消す必要性。


 ●凶器から犯人を特定される。
 凶器に簡単には消せないような指紋や自分の血が付いてしまった。他にもピアノ線や釣り糸で絞殺されていたら、職業や趣味がわかってしまう、そこで凶器を持って帰る。
 ●不可能犯罪への演出。
 密室で殺害されていて、凶器も消えていた——トリックを解明しないと、犯行の証明が難しくなる。殺害現場周辺に被害者以外の足跡がないのに、被害者が撲殺されていた、絞殺されていたなどといった例もある。
 ●自殺を他殺に偽装するため。
 保険金を得るため、あるいは誰かに罪を着せるため。自殺なのだが他殺に見せかけたい。そこで凶器を消してしまう。そうすれば犯人が凶器を持ち帰ったということで他殺に見せかけられる。
 凶器の拳銃を風船に付けて飛ばしてしまう。拳銃に重しを付けて、手から離れたときに拳銃が川に落ちる。などのトリックがある。

 

○凶器を残す場合


 わざと凶器を残すこともある。
 犯行現場にあった凶器(包丁など)を使い、わざと残しておく。現場で凶器を調達したと思わせ計画的な犯行ではないと印象付ける。
 特殊な凶器を使用することで、そこに意味を持たせる。例えば、乱歩賞の副賞である乱歩像で被害者を撲殺する。そうすることで賞がらみの動機だと錯誤させる。他にもトロフィーを凶器に使うことでその競技に関係していると思わせることもできる。
 凶器を密室やアリバイトリックに使用したために、現場に残ってしまった。

 

○凶器の消し方


 ●自然現象
 業務用の氷やツララ、氷のナイフなど、時間が経過すれば、水になって凶器そのものは消えてしまう。
 ドライアイスを使えば気化してなくなる。
 雪崩・落雷を使って殺害する。
 ●生物の習性を使って運び出す。
 薄いカミソリに蜜を塗り、蟻に運び出させる。
 光るものに興味を示すカラスが凶器を口にくわえて運び去った。
 野良猫が餌として持ち帰った。
 ●凶器を食べてしまう
 冷凍したサンマ・もも肉・餅などを凶器に使用したあと、解凍して食べてしまう。
 ワニ・ヤギなどに凶器を食べさせる。
 ●凶器を隠す
 壁に埋め込む。
 金魚鉢の中、屈折率のあるガラス越しのみえない水底に凶器のガラスを隠す。
 鞄や靴、入れ物、荷物に凶器を隠す細工をする。
 凶器を分解し、他のものに見せかける。
 人体に隠す、飲み込む。下着、衣服の中に隠す。
 犯行後、ナイフを飲み込み、隠す。そのあとに吐き出す。サーカスの芸人だから可能だった。
 隠しダクトやエレベーターを使い、地下へ凶器を移動。
 ●犯人以外の人物による運搬
 自殺だとマズい・あるいは他殺の方が都合の良い発見者により、凶器が持ち去られる。
 コレクター用品や高額なものが凶器で、こっそりと持ち出される。

 

○まとめ


 殺人があれば、なんらかの凶器が使用される。だからこそ、そこに一工夫するとミステリーの質が上がる。手軽だからといって、そのへんのロープで絞殺、台所の包丁で刺殺というのはやめておこう。

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