2024年3月の記事一覧
[創作]尊き普通の世界
その男子は、先生との話も深まったことにより、多少の冗談を言ってもいい雰囲気を察知した。
もとより普く議論において最も崇高とされる行為は談笑であり、お互いが心を開け放す"冗談"を言える空気こそが議論としてふさわしい、と男子は知っていたからだ。
「先生、そんなことを言っていますが、実際のところ他者に分別をと言っているその"分別''すらも、結局のとこ生きるための執着ではないのですか?」
男子は若干
[創作]自分に対しての救い
それからその男は、それまでにない感情を吐露した。
「俺はずっと、子どもの頃から、いや物心ついた、そして洗脳された子どもから大人になった時期、大人になりかけた時期、から、ずっと理想の世界を目指してきた。ずっとこの世の間違っている点と、それを完成させた理想の世界を見、そして理想の世界に生きることを選んできた。あるいはその理想の世界で生きている、と信じ込んでいた。
だがしかし、理想の世界に生きる、と