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クリエイティブは主観と客観の交差点

あるお客さんのホームページのデザインディレクションをしました。機械メーカーで、その会社のものづくりに対する想いを伝える「ものづくりコンセプト」ページです。私はその会社のものづくりに対する真摯な姿勢にすごく共感しているので、それをどうにかして伝えたいという想いで取り組みました。

メーカーのものづくりに対する想いって、ふつう顧客には関心が湧かないところだと思います。性能や価格、耐久性など、あくまでも大切なのは商品情報。ものづくりに対して真摯に取り組んでいても、価格が高ければ購入しないし、品質が悪ければリピートもない。あくまでも製品力が大前提というのは当然だと思います。

しかし、他社とくらべて品質、価格とも大きな変わりがなければ、購入のひとつの理由になるかもしれない。企業の社会的姿勢も評価する時代です。少しでも多くの人に私が共感したような想いを感じて欲しい、という使命でページデザインのコンセプトから考えていきました。

興味を持ってもらい、感動してもらう。そのために、ストーリーっぽいものなども含めて提案しました。結果は撃沈・・・・・。特に私の主観が入りすぎているものは残念ながら伝わらなかったです。これは担当者の嗜好性もあると思いますが、無難な表現での方向性で作り直しました。

後で振り返れば、主観的な想いが強すぎるばかり、自己満足になっていたと思います。世の中の優れたストーリーのあるコピーと比べて、やや強引な自分の感動的なことだけに入り込んでいた側面もあると思います。

感動を伝える。自分が感動したことでないと、人は必ずしも感動しない。それは決して間違っていないと思いますが、やや独りよがりになっていたのでしょう。

クリエイティブは主観と客観のバランスがとても大切であり、とても難しいところだと思います。時々、自分が考えたプランやコピーは他人に見てもらうこともありますが、今回はそれをやりませんでした。それは一つの反省かなと思いますが、それ以上にひとつのストーリーに対して、もっともっと伝わる、独りよがりでない、自然に入り込めて自然に感じられるような表現をもっと追求すべきだったと思います。

また、チャンスがあれば自分の感動を、主観と客観を何度も行き来し、クリエイティブプランを作っていきたいと思います。無難な案だけを出していては、決して成長しないと思います。もちろん仕事なので、お客様に選んでもらうことが大前提ですから、提案時には無難な案も含めながら、自分のチャレンジ案も常に出していきたい思います。

主観は主観として磨いていく。感動が必ず感動を作っていくと思うので。感動する感性をもっともっと豊かにしていく。良いクリエイティブ、良い創作物にもっとどっぷりとつかっていく。そして客観的な視点も広げていく。この言葉はどんな風に伝わるか。ユーザーだったらどのように捉えていくか。もっともっと強く意識して考えていく。そのためにはいろんな人との会話の中からそういったことを意識して吸収していく。人の捉え方や感じ方への引き出しを広げいく。良いクリエイティブのために、もっともっと意識していきたいと思います。


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