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今、君に会えたなら(エッセイ)

母方の実家には、『マリン』というマルチーズの女の子が居た。

けれど、マリンが生きていた頃の私はまだ幼く小さかった為、祖父母の家に行くたびに『ワンッ!ワンッ!』と吠えるマリンを、私は少し怖く思ってしまっていた。

そんなマリンは、13歳まで犬生を全うし、虹の橋を渡っていった。

けれど…そんなマリンと遊んだ記憶は、今の私には全然残っていない。

段々成長してきて、大人になった今…

私はそれを、とても後悔している。

犬としての性質である吠える声を、怖く思ってしまっていた事もそうだ。

これはもう…しょうがない事だと分かるものの、大人になってから祖父母の家に飾られていたマリンの写真を見た時、どうしてこんなに可愛いマリンを怖いと思ったりしてしまっていたんだろう…と思わずには居られなかったのだ。

◈◈◈
そんな私だったものの、ある日、家から1枚の写真が見つかった。

アルバムに挟まっていたのか、までは良く覚えていないが、その写真に写っていたのはダンボールに入った小さい私と、その隣にマリンが写っている写真。

『うっわ〜〜〜〜〜!!可愛い〜〜!』

小さい頃の私と、マリン…。

可愛すぎるだろっ!(笑)

けれど何より嬉しかったのは、小さい頃の私とマリンが隣同士で写っていた事。

ちゃんと、マリンと触れ合っていたかもしれない事。

この写真が出てきた時、私の中の後悔が少し減ったような気がした。

もし、今、マリンに会えたなら、私は『ワン!ワン!』という声に怖さを思う事はなく、少しずつ少しずつ近づいていって触れ合いたい。

「かわいいね!かわいいね〜」

なんて言いながら、マリンを撫で撫でしたい。

もう、絶対に叶わない願いだけれど、そんな事を思った夜の事だった。


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