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精神疾患のこと

二女が統合失調症と診断されたのは、半年前の2022年4月。
あの朝、何とかして心療内科を受診しなければ、と必死だった。
空港へ行く、と言う娘は、なぜか高校の制服と、ソックスを引っ張り出して着ていた。処分しておけば良かった、クローゼットの隅に置いたままにしていた私が悪い。
2日前には警察の方にお世話になっていた。
カラオケ店での不審な行動、警察の方からは詳細な説明なく、ただ「人は変わってしまうんですよ。昨日まで、何ともなかったのに、一晩で変わってしまうんです、不思議なことに。」
説得力のある言葉だった。その時、娘は攻撃的になったり、泣いたりの繰り返しだった。
手足を縛るわけにもいかず、家から飛び出してしまったらどうしよう、包丁を振り回したらどうしよう、自分で自分を傷付けたらどうしよう、色々な不安が押し寄せてきたのを覚えている。
そして、心療内科の扉の中に入った時の安堵感。

先生と娘の長い会話のやり取りがあった。
「監視カメラがある、盗聴されているかも。」

決定的なひと言だった。
統合失調症と診断があり薬の服用が、始まる。
最初のうちは、約束を守って飲めていた。しかしながら、案の定、続けることに抵抗を感じる日もあった。

怠薬。
精神科病棟での入院。

統合失調症についての理解が、今までと全く変わってしまった自分自身に驚く。
中井久夫先生を知る。こんなに著名な先生が、こんなに昔から統合失調症のケアについて述べられていたなんて。
何にも知らなかった自分に愕然とする。
それよりも、この20年間が何か、薄っぺらい壁がハラハラと崩れていく感じ。
いやいや、本人の心に寄り添わないと、
と思う反面、やはり自分の思いが前に出る。
なんで、なんで、どうして。
いや、目の前の本人が一番苦しんでいるではないか。
ケアすることとは…次なる課題。


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