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あの呪術廻戦にも影響を与えた?平成最大の問題作「多重人格探偵サイコ」

漫画界において平成最大の問題作と言ってもいい漫画、「多重人格探偵サイコ」(以下サイコ)をご存知だろうか。
原作・大塚英志、作画・田島昭宇による漫画作品なのだが。

97年から始まり不定期連載を経て2016年には完結した、実は連載時はコミックの週間売り上げ一位も何度も取ったこともあるほどヒットしたショッキング・サスペンスである。


①  サイコのあらすじ


ある事件をきっかけに多重人格となった元刑事が仲間と共に連続で起きる猟奇殺人事件をいくつか解決していく。その中で、

犯人がみんな左目にバーコードが刻印されていることやルーシー・モノストーン(実在はしない)というアーティストに心酔していること、また事件の背後に謎の組織「ガクソ」が関係していることが判明する。
そして、主人公達はルーシー、ガクソを巡る大きな陰謀に巻き込まれいく、というもの。

本作は謎が謎を呼ぶ予測不能の展開と田島昭宇によるスタイリッシュな作画が話題となり人気をよんだのだが、1番話題になったのがその残酷描写だ。

②  そのグロ描写


そのエグさを象徴する有名なエピソードがある。

本作は「新世紀エヴァンゲリオン」掲載誌だったことでも有名な月刊少年誌「少年エース」(後のヤングエース)で連載されていた作品なのだが、第一話掲載時、そのあまりの残酷描写になんと印刷中だった印刷工場の輪転機にストップがかかったのだ。

ではどんな描写があって輪転機にストップがかかったのか。(※以降の説明は文字だけですが相当グロいので苦手な方は飛ばして下さい
そのグロ描写の一例を語ると、職場にいた刑事にクール便で荷物が届き、その場にいたみんなで箱を開けるとその中には

四肢を切断され、切断部は止血されて裸の状態でゼリーに浸され、呼吸のためかチューブを繋がれた刑事の恋人が入っているのだ

その状態でも彼女はなんとまだ生きており、箱を開け唖然としてる刑事達を見つめ、恋人である刑事と目が合いその名を呼ぶのだが、、、、

グロい

これに限らず頭部の上半分の外殻を切り取られ(丁度呪術廻戦の頭のツギハギを解いて開けた状態の羂索のような)その剥き出しの脳みそに花を咲かされている被害者の描写や

犯人が連行時自らカミソリの刃で首を切り出血して死ぬ描写があったりする。

グロい(2度目)。

つーかよくこんな漫画が少年誌で連載されていたものである

そのあまりのグロ描写に嫌悪感を示し、序盤で脱落した友人も多数いたが、我慢して読んだ人間はことごとくハマっていた。
そのグロさを乗り越えれば上述のミステリーというかサスペンスの部分がめちゃくちゃ面白い漫画だ。

最近は25周年を記念して愛蔵版が出ている。安い値段ではないが読む価値はあるかと思うので興味ある方は是非ご一読を。

③  呪術廻戦への影響

1.イラストやキャラクター


さて、本稿のタイトルにもある呪術廻戦への影響だが、まずイラストである。

特に伏黒甚爾にその影響が顕著だと思われる。


通称パパ黒

こちら呪力がないにも関わらず「術士殺し」の異名を持つほどフィジカル的にも最強だった非術士で、ギャンブル好きでニヒルな性格、しゃべり方は粗野な反面、実は頭脳派な一面もあるのだが

これがサイコ西園伸二に外内面共にそっくりなのだ。


西園伸二

見ての通り吊り目で目は細く、イケメンで高身長。こちらも喋り方は粗野であり性格はニヒル、やはり頭脳派でもある。

以下は髪型は違うが西園伸二の言葉遣いの一例


かーくっい〜

また、羂索の脳に口があるデザインもサイコに似ている。

こちら羂索頭パッカーン時

「きっしょ」

こちらサイコ


「IN UTERO」のオマージュっすな

他にもやはり羂索の絵や画風にサイコみを感じる瞬間も多々ある。グロ描写があったりするのもサイコの影響かなー、と思っている。

これだけだとこじつけのように思われる呪術信者の方もいるかもしれないので、一度サイコを読んでいただきたい。

2.ストーリー


これはストーリーというよりキャラクターと言うべきかもしれないが、呪術廻戦には羂索という世紀を超えて生きる呪術師が登場するのだが
なんとサイコにも世紀を超えて暗躍するラスボスが登場するのだ。
勿論、世紀を超えて生きる敵キャラクターというのは他のフィクションでもよくあるが、イラストやキャラクターデザイン等の類似も含めるとやはり影響を受けてるんじゃないかと勘繰ってしまう。

また、呪術廻戦の原作者、芥見下々(以下芥見)はエヴァのファンであることから、掲載誌の少年エースヤングエースをチェックしていて、その関係でサイコを知ってても不思議ではないし、一時期は人気漫画でもあったため漫画好きなら一度はチェックする作品でもあるため影響を受けたのではないかと思う。

④  作者が影響を公言してない理由


さて、実は筆者、某サイトで呪術廻戦サイコからの影響を語ったところ、同意もされたが実際、信者の方から批判も受けた。

曰く、「作者が影響を公言していない」と。

確かに芥見BLEACHHUNTER×HUNTERエヴァ伊藤潤二等の影響は嬉々として公言している。
ならばサイコも公言するだろう、と。
しかしながら、明らかに影響を受けているであろう井上雄彦をはじめ、芥見はすべての影響を公言しているのだろうか。
それにサイコは集英社ではなく他社の出版社の作品であり、内容も上記の通りグロく物議を醸した作品なので、影響を公言するのを編集部から止められている可能性もあると思っている。

何度も書くが筆者のこじつけと思う方は是非一度読んでみて、自分の目で確かめていただきたい。

⑤  まとめ

と、いうわけで今流行りにしてクライマックスの呪術廻戦を絡めてサイコに触れてみた。

連載時は終盤は「終わる終わる詐欺」をやらかし、次巻完結の謳い文句が数巻続き、ダラダラ引き伸ばしているようにも感じられた。
また、設定も二転三転している印象があって統一感もなく、そしてなんだかなー、な終わり方もあって筆者は少し熱が冷めがっかりしたのだが

完結後数年経って読み返すと、色々な欠点はあってもやはり相当面白い。特に序盤はワクワクするし、終盤もむしろ物語として綺麗にまとまった印象すらある。
むしろ今の漫画より面白い

だから未読の方には
呪術廻戦に影響を与えたァ?ホンマかいなw」
と冷やかし半分でも読んでみてもらえたらな、と。

何より多重人格探偵サイコがもっと名作として評価されれば嬉しいなぁ、と思う。


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