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花のはなし、木のきもち

 物事がなかなか思うように進まない時、いらいらしたり落ちこんだりする。先の見えない不安な状況が続くと思考は悪い方へ悪い方へと流れていくようで、頭を切りかえるのがむずかしい。ジャンプの前にはしゃがまなくちゃ、と人には言うのだけれど、自分に言いきかせるのが一番大変だ。

 今はタネマキの時だと思うことにしよう。タネマキをしている時にもう収穫できるような物はないのだから、いま目に見える収穫がないからといってがっかりすることのほうがおかしいのだ。落ち着いた気持ちで良いタネを一生懸命にまけばいいのだ。みのりの時はあとから必ず来ることを信じて。

 植物は本当に面白い。本来、根のついているものは自身は移動できないから生えた場所でそれなりの育ち方をするものだし、そこがだめな場所だったら育つことができずに枯れたり腐ったりしてなくなってしまう。

 好きでない場所でも何とか生きよう育とうと逆境に耐える力をつけかけている時に、あらかわいそうと移し植えたりすると、けなげな努力が水の泡となりかえってだめにしてしまう。がんばってるねと横目でちらちら見ていてやれば必ず元気に育っていくものだ。

 友人が面白いことを言った。カボチャの花が次々と咲くんだけど雄花ばっかりなのよ。もう引き抜いてやろうと思ってたら忘れたころに実がついてた。そうでしょう、そうでしょう。植物にとっても子孫を残すのは大変なことなのよ。はじめの頃、次々と咲いてきた雄花は単なる「おけいこの花」なの。雄花は雌花に見られてるの。そんなナサケナイ花では実をつけられないわって。立派な雄花が咲くように植物自体が大きく育つまで雌花は待ってるのよ。貴重な子孫のもとの雌花を無駄にするわけにはいかないからね。ふーん、そうなのか、そうかもねと感心されたけれど、この説明で正解?ほんと、雌花ってえらい。

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