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3.孤高の男と2頭の馬

心に深い傷を抱えたまま
飛行機に飛び乗るようにして
日本を飛び出してきた俺は
旅のプランなんて無い
さて・・・
これからどうする・・・
手元にはボロボロの
年季の入った紙の地図があるだけ

ふと相棒のメーターを見ると
LAS VEGASから596マイル・・・
ふ~ん・・・
もうそんな距離を走ってきたのか・・

「EL PASO」

なんとなく地図を見てみると
そんな街の名前が目に飛び込んできた
LAS VEGAS→
NEW MEXICO→
TEXASかぁ
我ながらずいぶんと遠くまで来たなぁ・・・

・・・そうだな・・・
今夜泊まるMOTELも探さないとならんし・・
よし、州跨いで
今日は
TEXAS州のEL PASOに泊まろうか
今はまだお天道さんは真上にいる
日が暮れる前に街に入れるだろう
今日はガンガンに冷房効かせたMOTELで
キンキンに冷えたビールかっ喰らいたいな
相棒にも何か冷たいやつ
飲ませてやりてぇけど
さすがにそれはな(笑)

「なぁ相棒、暑いよなぁ
 毎日凄い日差しだもん
 でもフリーウェイ走ってんのは
 気持ちいいのなんのって
 おまえもそう思うだろ?」
 
相棒に語りかけながら
エンジンに火を入れる
今日もご機嫌なサウンドを
聞かせてくれるじゃん♬
さぁ・・・
EL PASOとやらに行こうか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺は
NEW MEXICO州の10号線に乗り
TEXAS州EL PASOへと向かった

一直線の道
乾いた空気に高い空
耳に入る音は
相棒が風を切る音だけ
ほんと、たまんねぇよなぁ・・・(涙)
このまま天に召してもいいくらいだ(笑)
そう言いたくなる位に気持ちがいい

傷ついている俺は
風で浄化されていく
大地に癒されていく

大地に身を委ねていると
優しく包み込まれる
この大地はどんな傷でも治してくれる

大地の呼吸に合わせるんだ
風を感じろ
風に流されてみろ

・・・どうだ?
・・・だろ?
ちっぽけだろ⁇
そうだよ
ちっぽけな存在だよ、俺たちは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もうどれくらい走ったかな
色々な想いに浸りながら走るってのも
浄化だねぇ・・・
心がシンプルになってくる
雑念を風に流すんだ
これはヒーリングそのもの・・・

で、
そんな感じで気持ちよく走っていると
前方に何やら見たことのない光景が・・・
なんと!!
馬がFORDのトラックに運ばれてる!
なるほどぉ・・・
こうやって運べるんだねぇ♫
2頭の馬が専用の荷台に乗っている
俺はトラックと並走して馬に挨拶♪
向こうも気になるのか
こちらをしきりに見ている
可愛い目をしているよなぁ(涙)
そして俺は馬との会話をすませた後
少しスピードを上げ
運転席にいる馬主に挨拶して
俺はトラックを後にした
バックミラーには小さくなったトラック
こういう風な馬との出会い
アメリカならでは、だな(笑)

もし神様なんて存在がいるのだとしたら
お礼を言いたいね(笑)
馬を創造してくれたんだ
こんな素敵なことないじゃん!
むかし聞いたことある
「もし地球上に動物がいなかったら
 人間は滅びているだろう」

なんかわかるような気がするな
そういや
犬ってのは
大好きな飼い主が家に帰ってきた時
全身から
緑色のオーラ出して喜ぶんだって
緑って癒しの色、だよね・・・
俺らって日々
動物に癒されてんだよな・・・

俺なんて馬を見ているだけで
癒されるんだよなぁ
あとはバイクに跨っているだけでも
癒される
そうそう
バイクって無機質に見えるじゃん?
違うんだよな
馬主のこと
「見てるぜ・・・」
だからくれぐれも
変な扱いしないこった・・・

             続く・・・


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