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11.インディアンの湯治場と孤高の男

LAS VEGASから3345mileの地点
LAS VEGASを出発してから27日目
日本を飛び出して
そろそろ一ヶ月が経過する
まさか北米中西部まで来るとは
自分でもまったく予想していなかった

ここARKANSAS州は
北米西部とは違い緑が非常に多い
それに温泉もある
その昔
この地域が白人に踏み荒らされる前は
ネイティブアメリカン達が
湯治場として使っていた地域で
この地域に湧き立つお湯は
病気の治療に役立つと言われており
ここの湯の効果は
彼らの間で伝説化していたそうだ

「ネイティブアメリカン」
単身で
19歳の時に
モニュメントバレーと
グランドキャニオンへ行った
それ以来彼らの導きが始まった

俺はいつも定期的に
彼らと北米の大地に導かれる
今回も彼らに導かれて
ここARKANSAS州までやってきた

可愛らしい土産屋さん
中心街にあるアーリントンホテル
HOT SPRINGの看板
太り始めている著者、それが原因でこの後事件が起きる(笑)
美しい湖
カッコつけているつもりの著者(笑)
相棒とその仲間達
神聖な雰囲気の森へと続く道


しかし
今回の旅が
いつもの旅と違うのはもう明白だ
俺は深く傷付いていたからだ
それはもう心が粉々に砕けていた・・・

あの日
心の底から愛する人との
破局が起きてしまった

人を愛するってことは
こんなにも辛いものなのか・・・
俺の毎日は
バラ色から灰色に変わった
日を追うごとに思いが
心に重くのしかかる
・・・
彼女への思い・・・

愛する者を失った俺は
その破壊力の大きさに
打ちひしがれる
そして遂には
自分自身をも見失って
魂の抜け殻となった
俺は魂の漂流者
地球を漂う抜け殻の魂・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼女との出会いは横浜のBARなんだ
一目見て好きになっちまって
思い切って連絡先を聞いてさ
で、
出会いから数週間経ったある日、
俺から告白したんだ
返事は
「OK」
俺は飛び上がるほどに嬉しかったよ
その時の興奮、景色、
今でも鮮明に憶えてる・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺は今
ARKANSAS州にいる
日本からどれくらい離れているのだろう
全てを置きざりにして
ずいぶんと遠くまで来たもんだ
俺はボロボロになった地図片手に
見知らぬ土地を駆け抜けている
ひたすら街から街へ流れていく
大地と呼吸を合わせ
風に身を任せ走る
導かれるままに
心が感じるままに走っている
夕刻になったら宿を探し眠る
腹が減ればステーキかB-B-Qを喰らう
喉が渇けばBEERをたらふく飲む
その日その時の気分で行動を決める
走りたければ走るし
喰いたければ喰う
眠ければ眠る
相棒を止めて
ずっと大地を見ていた時もあった
ずっと空を見上げていた時もあった
俺はよく空や大地に問いかけてみるんだ
「俺はこの先どうなるんだぃ・・・?」
すると彼らは決まって静かに微笑むだけ・・・
でも穏やかな風に
包みこんでくれる時もある


俺はゆっくりと静かに
悠久の大地に呼吸を合わせて
自分の力で
自分自身を癒し始めている

風で全てを洗い流し
大地のエナジーで身を満たす
ようやく俺は自分の足で立ち上がり
力強い一歩を踏み出している

「そう、その調子
 焦らずにゆっくりと・・・

 まだお前は
 始まったばかりなのだから・・・
 この旅から始まる壮大な計画
 お前には
 それを行う役目があるのだから・・・」

そう
これは俺にとっての
「破壊と再生のステージの幕明け」
新たなステージを駆け上がるためには
徹底的な破壊を
行わなければならない時がある
これは
自らが設定した試練のステージでもある

違う景色、見たいんだろ?
成長し続けたいんだろ?
刺激がある人生望んでるんだろ?

それ全部、
叶えてやるよ
でもな、
そのステージに上がる為には・・・

「愛する人との別れが必要だったんだよ」

              続く・・・・


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