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3月完成の建物はクオリティが低い!?

こんにちは
まっつんです。

3月完成の建物はクオリティが低い・・・
「完成月でクオリティが変わるのか!?」と思うかもしれませんが
正直、3月完成の建物は他の完成月に比べるとクオリティが
落ちる"可能性"がある。

"可能性"です。
3月完成の建物全てがクオリティが低いというわけではない。
それは覚えておいてください。

"いい家"と一言で言っても捉え方は人それぞれ。

建築士に依頼しデザイン、独創性ともに気に入っていて
多少の不具合はあまり気にしていない。

と言う人であればそれは"いい家"です

なので今回は
傷や不具合などもなくクオリティが高い=いい家
という概念でお話をしていきます。

3月は慢性的な職人不足!?

私が現場監督だった20年以上前
3月ほど憂鬱な時期はないと思える状況でした。

会社の事務所を出るのは早くて22時30分
0時を回るのは日常茶飯事
これから飲みにいこう!
と約束すると集合時間は23時くらい・・・

年度末近くになると家に帰らず
そのまま次の日を迎え仕事を始める・・・

これが一昔前の3月の現場監督です。

そしてなぜ3月は慢性的な職人不足かと言うと
単純に引き渡し棟数が異常に多いからです。

これは一部の建築会社だけではなく
建築業界全体的に3月の引き渡しが多くなる時期なのです。

それはなぜか?
単純に年度末であり会社の決算と重なっている事が
多いからです。

上場企業であれば株主総会で報告がありますので
予定している売り上げや利益が上がっていないと
株価に影響しますし配当にも影響が出ます。

そうならないために多少無理してでも
数字の確保に動きます。

上場していなくても決算は大切な時期ですから
数字に対してのコミットは強くなります。

この様に全体に的に引き渡し棟数が他の月よりも多ければ
必然的に職人不足に陥ります。

各社、職人の奪い合いが始まるのです。

職人も本来の実力が発揮できない!

引き渡し棟数が多いと言うことは
職人1人当たりの施工する必要のある現場の数は増えます。

例えば、サイディング屋さんが
本来であれば1ヶ月で3棟施工するところ
3月引き渡しの現場を5棟施工しないといけない!

例えると
プレゼン資料を3件ところ今月は5件分作らないといけない!
となったらみなさんはどうしますか?
考えられる方法はこのくらいですよね。

・急ぐ
・残業
・誰かに手伝ってもらう

職人さんも同じです。
しかも施工の内容によってはかなり大きな音が出ますので
残業といっても限界があります。
そうなると急いで工事をするか知り合いの職人さんを呼んで
手伝ってもらって工期を短くするしかありません。

急いで作ったものって
プレゼン資料もそうですが、誤字脱字があったりと
いつもの時間で作るよりもミスが起きる可能性も
高くなり完成度も下がりますよね。

現場監督の段取りミスは命取り

この時期の現場監督の段取りミスは命取りになります。

家づくりはたくさんの職人さんが絡みます。
その全ての職人さんの作業を円滑に進めるために
各職人さんの段取りや材料の発注に気を使います。

例えば
サイディング屋さんがスムーズに作業を進めるためには
サッシの取り付けや外部の大工工事が終わっていないと
作業に入れません。

また、屋根の壁との取り合いの屋根板金が終わっていないと
サイディング屋さんは工事が進めません。

このように1つの職人の作業は他の職人の作業と絡むので
他の職人さんとの段取りが大切になってきます。

こんな時に材料の発注ミスが発生して
予定しているサッシが入らない・・・

となったら大工さんの作業も進まないですし
サイディング屋さんも作業ができない。

そうなるとサイディング屋さんは他の現場へ行き
そっちの現場が終わるまで戻ってこれない・・・

こうなるとさらに工期を圧迫することになります。

なのでこの時期の現場監督の段取りは
慎重にミスのないように進めないといけないのです。

応援に来てもらう職人

前述でも工期が短い、現場が多いと話してきましたが
そんな時に知り合いの職人に手伝ってもらう。
という方法がありましたね。

知り合いの職人に手伝ってもらう
一見普通のことだと思いますが
よく考えてください。

忙しい時期に手伝いに来れるというのは
その知り合いはどういう状況なのか?

・その知り合いも忙しいけどなんとか1日なら手伝いに行ける
・暇だから手伝いに行ける

手伝いに行けるこの両者は全然違います。
暇だから手伝いに行けるって
この忙しい繁忙期に仕事がない・・・

仕事がない←建築会社が仕事を依頼したくない←腕が悪い、ルーズなどなど

仕事がないって事がその職人の質を証明してしまう可能性がある。
そんな状況でも会社から言われている売り上げを守るために
現場監督は苦渋の決断をしないといけない時もある。

紹介してもらった職人
初めて依頼する職人

正直、腕がいいかもわからないし
うちの会社の施工精度やルール通りやってくれるのかも
わからない・・・

引き渡し期日は守らないといけない。
そんな状況にいる現場監督もいると思います。

現場監督は根回しも必要

いかに良い職人を自分の現場で使うのかも重要です。
特に3月などの繁忙期などは外部の知らない職人をを使うのは
リスクが高くなります。

リスクが高くなると言うのはいつもお願いしている職人と
比べるとリスクが高いという意味です。

腕を知っていれば良いですが
これはガチャガチャです。

腕がいいと評判を聞いていても
実際に見てみると
「そんなでもないか・・・」と言うこともあります。

そうならないために職人への根回しも大切な仕事です。
「次の現場がいつから入れるから予定しておいて」
先に職人さんを押さえておくのです。

これをやっておくだけでだいぶ違います。
他の現場監督が仕事を依頼してきても
「〇〇さんの現場がすぐあるからいけないよ〜」と
言わせてしまうのです。

そうして職人を確保していく。
そんな根回しも必要になってきます。

現場監督の仕事は現場の施工管理も大切ですが
職人さんの段取り大切です。

段取りが悪ければ職人さんの手が空いてしまう事になる。

手が空いてしまうことを「職人を遊ばせる」と言います。
段取り悪くて1〜3日現場で仕事ができない・・・
となると職人は他の現場へ言ってしまいます。

職人も休めば休む分だけ給与が減りますからね。


今回は3月引き渡しの内情をお話ししてきました。
近年は、3月に引き渡しが集中しないように分散する傾向ですが
それでも他の月に比べると引き渡しが多いのは事実です。

全ての現場がこれに当てはまるわけではないので
そこは覚えておいてくださいね。


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