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箱根に温泉付きのマンションを買った話

私の名は「あきらんど」。
収入も体型も性癖も、おそらく平均的な中年男性。
そんな私がセカンドハウスとして、
箱根に温泉付きマンションを買った。
今回は、その話。

男性の平均健康寿命は72.4歳らしい。
気がつけば、その平均健康寿命とやらの半分も過ぎて、
50歳で早世した父親の年齢に徐々に近づきつつある。

「明日死んだとしても、後悔はないのだろうか」
「人生、これでいいのだろうか」
「ちゃんと将来、やっていけるのであろうか」
「というか、中年真っ盛りの〝今が将来〟では・・・」
そんなことが頭の中を駆け巡る。

一応、都内通勤圏に住居は保有しているが、
密集しており空気は(きっと)悪く、
窓を開けると隣家のタバコの匂いが入ってくる。
換気をすればタバコのflavorが~♪
2000年前後の大ヒット曲のメロディが頭の中に流れる。

そんな折、自動車ディーラーから
車検のお知らせと自動車を買い換えた場合の見積りが送られてきた。
下取り査定を含まず、おおよそ450万円。
車も本当に高くなったものである。

今の車には満足している。
7年ほど乗り、大きな不具合もなく、
まるで自分の手足のように動いてくれる。
もう少し、大切に乗ろうかな・・・
と、気まぐれに箱根に車を走らせた。

愛車は小さな欧州車。頑丈でキビキビ走るのが◎

箱根には思い出も思い入れもない。
車で片道2時間前後。ちょうどよい距離。
この年になるとやたらと昔を思い出してしまい、
全国の至る所に思い出の地雷がある。

ネットゲーム依存症になったA子とは
アクアラインをわたり千葉方面へ良く行き、
自己顕示欲の権化で何でもSNSに投稿するB子とは
河口湖や秩父に良く行き、
すぐにお店の人にクレームをいれ、
コールセンターに500回電話をしたC子とは
横浜、横須賀方面によく遊びに行った。
(振り返るとろくな女と付き合っていないことがわかる)

けど、こんな自宅近くの箱根という日帰り旅行に最適な、
この観光スポットには誰とも来たことがなかったな、と、
箱根湯本駅のパーキングに車を停めた。

名物の珈琲牛乳ソフトを食べながら駅前を歩くと、
街の不動産屋を見かけた。

意外とあっさりしている珈琲牛乳ソフト

これが一つの転機となった。
店舗のガラス面には駅近くのアパートや土地売買など、
一般的な物件紹介コーナーがあり、
その右隣に「リゾートマンション特集」と。

仙石原エリア 温泉付き2000万円
強羅エリア 温泉付き1500万円
大平台エリア 温泉付き 1200万円
などなど、私のような庶民とは無縁だね、と思いながら、
強羅エリア温泉付き450万円の物件を発見!!!

え、車と同じ価格で温泉付きマンション変えちゃうの??
正直、驚いた。
取り急ぎ、その物件情報を写真に撮り、
箱根湯本駅徒歩圏内の日帰り温泉へ。

「やっぱり温泉はいいわ~~~」と、
そんな独り言がでそうなほど、
箱根の湯はなめらかで肌に合っていた。

風呂上がりの保湿も忘れてしまったが、つっぱることなく、
お肌はつやつやであった。
心なしか慢性的な肩こりも軽減している気がする。

温泉がある暮らしか・・・
想像もつかなかったし、自分には無縁と思っていた。
しかし、先ほどの450万円の物件だけは気になった。
車の買い換えを先延ばしにして、買ってみるか・・・。
帰り道、自問自答を繰り返していた。

私の仕事は企画関係のフリーランス。
地獄のようなコロナ渦を乗り越え、
ここ数年、仕事仲間に恵まれ売上げも安定している。
けっして贅沢はできないが、お金に困ることはなくなった。
しかし、450万円の車と450万円の温泉付きマンションは
同時には買えない。
だって、将来怖いんだもの。
生活防衛費程度のキャッシュは確保しておきたい。

気がつけば仕事の合間に、
箱根のリゾートマンションをネットで調べている自分がいた。
1ルームなら250万円で買える物件もあるのか~
けど、寝室、仕事部屋、リビングダイニングと分けたい。
2LDKは欲しいな~等と思案しながら、
日々2〜3時間ぐらい探していた。

熱心に探している最中、
ふとした落とし穴に気がついた。
物件によっては月々温泉利用料がかかるのだ。
管理費、修繕積立金も少々お高めになっている。
ざっくり6万円はかかってしまう・・・。
「これじゃあ家賃じゃん」と思いながら、
諦めモードになった時、
月々込み込み3万円以内で収まる物件もいくつか見つかったのだ。
さっそく候補の物件を4件ほどピックアップし、
内見を申し込むことにした。

仙石原エリア2件(物件A、物件B)
強羅エリア2件(物件C、物件D)
それぞれ2024年1月下旬に内見をした。

【仙石原エリア】
仙石原エリアは箱根の中でも比較的平坦で、
スーパー、ホームセンター、コンビニ、飲食店も多数あり、
長期間の滞在にも不自由しなそう。
各物件の管理状況も良好で、掃除も行き届いていた。
物件A物件Bとも同じマンションの別の部屋)
すれ違うオーナーの方も落ち着いている印象。
価格は物件A/430万円と物件B/530万円。築35年程度。
物件A/430万円は値引き交渉OKとのこと。

【強羅エリア】
そして、強羅エリアは関東有数の温泉地だが、
急勾配の坂が、ある意味、名物。
強羅駅周辺もお土産物屋と飲食店で賑わっており、
隣の「彫刻の森駅」周辺にも飲食店が多数ある。
ただ、坂がすごい・・・。
あんな坂、こんな坂、まさかというレベルですごい。

坂を登るたびにTシャツを交換するほど汗をかく。

強羅エリアの物件は
物件C、築30年程度の広々ワンルーム。500万円強。
管理費・修繕積立金は2万円強。
リフォームも住んでおり、すぐに居住できるが北向き。
そして若干の予算オーバー。
物件D、築35年の2LDK。築年数の割には管理が行き届いており、
大規模修繕も済んでいるとのことで、年代を感じさせない。
売り出し価格は480万円。
しかし、内見時には価格改定が入り450万円になっていた。
このマンションを「あきらんど&強羅んどマンション」
勝手に命名して、有力候補の一つにした。

1回の内見ではさすがに即決できず、
そもそも観光気分で訪れていたというのもあるが、
仙石原エリアか、強羅エリアか、
エリアの観点でものすごく悩むことになるのだった。

箱根湯本駅から強羅へはケーブルカーで40分ぐらい。強羅方面は標高が高く、夏は過ごしやすい。

2024年2月、冬の温泉を楽しむのも目的に2回目の内見へ。
「箱根の冬は寒いですよ~」と不動産営業に言われていたが、
温泉付きマンションを買うかも、という高揚感のためか、
そんなに寒さを感じなかった。

2回目は、
仙石原エリアの物件A(1LDK 430万円)
強羅エリアの物件D(2LDK 450万円)

この二つに絞って内見することにした。
今回は買うことを想定して、
水道、ガス、電気などの設備と方角をチェック。

物件A・・・西向き 水道、ガス給湯器が不具合あり。
入居に際しては全部取り替えることに。
またLDK部分もカーペットにシミが多数あり、
カーペット張り替えが必須。トイレも交換したい。
リフォームの想定予算は70~80万円程度
リフォーム代込みの総予算は値引き前提としても
450万円 MAXで510万円

比較的広々とした1LDK。フルリーフォームは必須。


物件D
・・・南東向きも奥行きのあるベランダがあるため、
日差しは部屋まで少ししか入らない。
水道、ガス、電気とも問題なし。
ただ、トイレから汚水がもれていた可能性があり、
トイレ交換が必須。その他、LDK部分のカーペットも取り替えたい。
リフォームの想定予算は40~50万円程度。
リフォーム代込みの総予算は値引き前提としても
450万円 MAXで500万円程度

強羅の物件Dはコンパクトな2LDK。前オーナーが綺麗好きの女性。
物件Dの外観イメージ。築年数の割に綺麗。管理も行き届いている。


スペックだけ並べると物件Dが優勢だが
アクセスが物件Aより格段に悪い。
車社会とはいえ、それでも悪い。
物件Aは新宿から高速バス1本で行けるが、
物件Dは新宿からロマンスカー+箱根登山鉄道に乗り、
最寄りの強羅駅から徒歩10分以上、
例の急な坂を上る。

物件Aか、物件Dか・・・。
ものすごく悩んで仕事が手につかなくなり、
2月は売上げが減った。
本末転倒もいいところである。

このマンション選びに関して
第三者のアドバイスをもらうことにした。
・一人目は不動産業を営む友人
・もう一人は後輩から紹介してもらった占い師

(その占い師に見てもらうのは2回目。
生年月日も何も聞かずに、
その人を見ただけで色々当てる不思議な人)

不動産業の友人とは学生時代からの付き合い。そしてこの占い師の方、本当に不思議。

友人(不動産業)
「将来、手放すということを考えると物件D。その理由は間取り。
ゲストルームがあるリゾートマンションはニーズがある。
物件Aは管理状況も良好というのが分かるが、
80部屋に対して温泉室のシャワーが3つというのは少ない。
1LDKという間取りは、リゾートマンションによく見られるが、
ゲストルームがあるというのは強みになる。」

友人からのアドバイス

占い師
「物件Aはやがて朽ち果てていくマンション。 売りたくても売れないという未来がまっている。 物件Dは流動性がある。とても空気が澄んでいる。
ここで自分自身と向き合う時間を作りなさい。
結果的にあなたの心身の健康につながる。 あなたは必ず元を取る人。
買った以上の価値を見いだします。 ところで、あなた、近々ろくでもない女と出会うから、 その人に振り回されないようにしなさい。 あ、その女とはもう出会っていますね。 SNSを通じてトラブルになるので気をつけてね」

占い師からのアドバイス

占い師の最後の一言がものすごく気になったが、
まさかの二人そろって物件D(強羅エリア450万円)を推奨。
物件Dを念頭にもう一度内見を申し込むことにした。

余談だが、とある女性(面識あり)が
「あきらんどに口説かれた、
半ば強引に体の関係に持ち込まれそうになった」と、
周囲に吹聴しており、もちろん事実無根なので
SNSのメッセージ機能で猛抗議をしたが、
そのメッセのスクショがSNSで晒されるという事態に見舞われた。
あの占い師の予言、恐ろしい。

閑話休題

3回目の内見、3月中旬。
不動産営業にコンタクト。この営業担当(女性)、
人柄は本当に良かった。
「当日は路面凍結もしない気候かと思います。
次は車で来たらどうですか?」と提案してくれたのだ。
まあ、結果、当日は大雪だったのだけど。

最終チェックは不動産業の友人にも同席をしてもらった。
彼は何をするわけでもないが、その場にいるというだけで、
内見の現場がピリッと引き締まる。
もっとも後日談、彼は
「あの不動産営業の女性、美人だな~。
どうにかしてLINE交換できないかな」

って、考えていたらしい。
ごめん、俺も同じことを考えていた。

少しおっちょこちょいだが、丁寧な対応をしてくれる担当者と巡り会えた。しかも美人!

物件Dに関して申し込み前提で値引き交渉をしたところ、
10万円の値引きで回答。物件D 440万円で契約へ。
仲介手数料、司法書士報酬などなど諸費用込みで、
契約時には500万円弱が必要となった。

不動産売買は、申し込み→契約→引き渡しというプロセスを経るが、
今回は現金一括での精算を希望したため、
申し込み→契約+引き渡しというプロセスになる。
さて、契約当日も友人に同席してもらうことにして、
不動産会社のオフィスへ向かった。
リュックには現金500万円弱、実印、認め印、お守りが入っている。

こんな大金を持ち歩くのは人生初。緊張で胃の調子が悪くなった。

吉日の土曜日。
契約は私+友人、売主、不動産営業、司法書士が同席で行われる。
ここで一つトラブルが・・・。
現金精算と伝えていたつもりだが、不動産会社に伝わっておらず、
現金を見た不動産営業がリアルに悲鳴を上げたのだ。
不動産営業「きゃ~~、すみません、今日土曜日で、どうしよう・・」
売主(女性)「私、現金の受け取りは困ります」
私「確かに現金精算と伝えました。口座にもうお金はありません!」

悲鳴を聞きつけた支店長が会議室にやってきて、
現金を不動産会社が預かる、現在不動産会社の法人口座にある金額を、
ネット銀行を経由して売主に振り込む、
という流れで落ち着いた。
さて、鍵の引き渡し。
私は晴れて、箱根の温泉付きマンションのオーナーになった。

購入後間もなく、
LDK部分のリフォームとトイレ交換も無事に済み、
ついでにエアコンも買い換えた。

リビングのカーペットを交換。明るいベージュを選び、真ん中にグリーンのカーペットを配置


5月から本格的に箱根ライフを楽しんでいる。

箱根は観光地のため、土日祝が混雑をする。
そのため、月曜日~木曜午前まで箱根で過ごして、
金曜日~週末は都心で過ごすことが多い。
心なしかお肌の調子も良い。
仕事でイライラすることも少なくなった。
落ち込んだ売上げも無事に回復して一安心。

そして、高い高いと言われる観光地グルメだが、
多少高い、という価格帯で、
味のレベルもリピートしたくなる美味しさだ。
(中には高いだけの観光客向け飲食店も多々あるが・・・)

彫刻の森近くの洋食屋。調味料ではなく、ブイヨンで味を引き立てている印象。
箱根には美味しいパン屋も。
仙石原エリアのお寿司屋さん。銀座と遜色なし(銀座の寿司屋、行ったことないけど)
箱根神社の冷やし甘酒。ストローがハート!


箱根に温泉付きのマンションを買って、良いことがあった。
それはガールズバーや合コンの席で、
「箱根に温泉付きのマンションを持っている」
というとウケがいいのだ!
「え、行ってみたーい!」と言う女性も何人かいて、
誘ってみたのだが、
「あ、今月は仕事が忙しくて」
とか
「ごめん、彼氏がダメだって」
(彼氏がいて合コンにくるの!?)
とか、
今現在、誘うのに成功したことはない。
このマンションに遊びに来たのは親族だけである。

さて、
この買い物が、
浪費となるか、
投資となるか、
それはきっと自分次第。

みなさんも、私も、どうか心豊かな日々が続きますように。

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