濃密な悪夢 ドキドキ文芸部

 狂気のゲームだった。ドグラ・マグラの比にならないほどの狂気を感じた。
誰がこんなものを作ろうと思うんだ?
普通、美少女ゲームでヒロインをあそこまで生々しく描写しないだろ。リストカットはまだ良い。ネットにはありふれてるし。
自殺自体もまだ理解できる。それも見ないことは無い。
ただ、描写が生々しすぎる。精神病という要素が美少女ゲームに導入されたことで、ヒロインの行動が全て病的に見えてしまう。
天然もツンデレもある種異常なのはわかっている。だからこそ特性として確立されているわけだし、だからこそ「萌える」のだ。
しかし、それが精神病によるものとなれば話が変わってくる。萌えどころではない。美少女ゲームの根底が揺るがされているのだから。
 ちなみに自分はサヨリルートでプレイした。まず幼馴染から攻略するべきだと、これまでのオタクとしての経験が言っていたから。
それゆえ、1週目の終わりから2週目が始まるまでまでの描写はきつかったし、そのまま続けてしまったために一度プレイを放棄しようとも思ってしまった。ヒロインが2人続けて自殺したら誰でもそうなるだろ。しかも2週目は通してホラー描写がきつい。「赤い部屋」やグロフラッシュに訓練されていればよかったかもしれないが、自分は生憎世代じゃない。だからホラー描写の度にビクついたし、突然ユリが自殺したときはビビり散らかした。なんで恋愛ゲームで死体の劣化を見せられたんだ?
 ここまで悍ましい描写で溢れていたのに終わってみれば美しいのが一番おかしい。月並みかつ嫌いな表現ではあるが、自分の感想を一番よく表せるから仕方なく使う。作者の頭が心配になった。
 もちろん真エンドも見てみたいが、数々の描写が怖気づかせてくる。もう一度サヨリの自殺を見て正気でいられる自信がない。動画を見て満足させてもらう。

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