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カウンセリング

1ヶ月ほど前からだろうか。
カウンセリングを受けている。
アドラー心理学にもとづいてのカウンセリングで、カウンセラーはアンチ精神科の先生だ。
カウンセラーは言う。
「知り合いが、精神病院の実態を知りたいって言って、仮病で精神病院に入院したことがあるんだよ。
ひどいらしいね。
その人、人間あつかいされなかったって言ってたよ」
そんな感じなので、そのカウンセラーには、病院の悪口など言いやすい。

精神病院と深い付き合いをしている人は、誰でも、医師、職員に
「えっ?なんで?」
と思うことがあるだろう。
けれどその
「えっ?なんで?」
は、精神科病棟での恐怖政治に抑え込まれていく。

昔かかっていた精神病院のナース、Tさんは言った。
「病棟ではナースウォッチングをするように。
そして、自分と相性のいいナース、相性の悪いナースをかぎ分けるように」
「患者とナースとの相性が悪いと、トラブルになったとき、患者のほうがまともなことを言ってても、患者が全部悪いことにされる」
正直なことを話してくれた、いい人だったと思う。
それから数年後、別の病院のカウンセリングでその話をしたとき、カウンセラーはニヤニヤして
「ほんとですかね?
そんなこと言う看護師いますかね?」
と言った。
またわたしの作り話、もしくは妄想にされるんだな、と思った。
精神病院というのは、そういうところだ。

4年前に入院していた病棟で、ひとりの女性患者が、すごいけんまくでナースステーションに怒鳴りこんでいた。
「わたしは躁状態なんじゃないのよ!
わたしはただ、怒り狂ってるの!」
あぁ、わかる~。
わたしも怒り狂うたびに躁状態あつかいされて薬と隔離室で黙らされてたわ。
病棟の廊下をウォーキングしていたわたしは、彼女に深く共感しながらも、素通りした。
関わり合いになってはならない。
火の粉はこちらまで飛んでくる可能性がある。
そんな風景を、長い入院生活で何度も見てきた。

精神病院への恨みは深い。
担当看護師だったYさんは
「もともと病気じゃなかったかも知れないのにね。
もともと病気じゃなくて、ただのストレスとかで精神病院にかかって、精神病院に本物にされちゃう人は多いから」
と言った。
今のカウンセラーにその話をすると
「正直な看護師さんだねぇ!
その通りだよ。
とりこさんは、今もたぶん病気じゃないと思うよ」
と言った。
けれどわたしは精神科の患者。
人前では
「わたし病気だから」
「わたし精神障害者だから」
とアピールする。
それが世渡りというもの。

今のカウンセリングの先生にかかることができて、ホッとしている。
精神病院の悪口を言うことが許される先生にかかることができて、ホッとしている。
精神科の主治医には話せないことを、カウンセリングでどんどん吐き出して、元気になっていこうと思う。



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