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それはメガネを外しているからです

障害者グループホームで暮らしている。
グループホームの社長は、35歳の若い兄ちゃんで、わたしは社長が大好きだ。
憧れている、と言っていい。
社長はたまに、わたしにこう言ってくれる。
「とりこさんって、若いですよね。
49歳の人ってどんななのか、よく知らないですけど」
社長はとっても優しい紳士的な兄ちゃんだ。
お世辞を言ってくれているのかも知れない。
けれどわたしは思っている。
「社長、それは社長がメガネを外しているからです」

自分でも、メガネをかけたり外したりして、鏡で自分の顔を見ることがある。
現実は残酷だ。
メガネをかけて自分の顔を見ると、補正された視力で、自分の肌のシミ、小ジワがくっきり見える。
なので、わたしは普段なるべくメガネをかけないようにしている。

社長はわたしの憧れの人だ。
面談してくれるとき、社長がメガネを外して来てくれると、わたしはほんとうにほっとしている。

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