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おなら魔ふたたび

おなら魔だ。
腸が活発に動いている、健康だ、ということだろうか。
はたまた、過敏性腸症候群かなにかの症状だろうか。
相部屋のグループホームで暮らすことになったとき、わたしがいちばん案じたのは、実はそのことだった。

グループホームに入居しておよそ2年、最近やっとわたしは自分がおなら魔だということに悩まなくなった。
相部屋さんは、とっても優しい人だ。
なにも言わないでくれる。
夜間見守りに泊まり込む世話人さんたちに、寝ながらおならが出ることを知られるのは恥ずかしいけれど、そこは生理現象、と割り切った。

今日の世話人さんは、Fさんだった。
もと自衛隊勤めの56歳の男性で、先週わたしに運動することをすすめてくれた世話人さんだ。
Fさんは、またわたしをタバコに誘った。
そして、筋トレもいいけど部屋にこもらず外に出るように、走るのがいい、それが難しいなら自転車に乗ってみては、と語り、ふと
「あっ、今おならが出ました」
と言った。
「わたしもなんです。
部屋ではおならばっかりしてるんです。」
とわたしは言った。
フォローしてあげよう、と思ったわけではない。
切実に、
「よかった!おなら魔の仲間をみつけた!」
みたいな気持ちで嬉しかったのだ。

健康診断で医者に
「胃にガスがたまってるけど、げっぷが多くないですか」
と言われたことがある。
そのとき
「おならが多いんです」
と言ってみたけど、医者はそれ以上なにも言わなかった。
わたしがこれほどのおなら魔だということが、なぜなのかは未だわからない。
けれど、我慢してるとそれ以上の体調不良を引き起こす、ということは確かだ。
今さら誰かとの同棲、結婚も考えてはいない。
割り切っていこう。

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