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金色と魚

 命はなんと儚く脆いのだろう。
 水に浮かんで、ピクリとも動かない、赤い物体を見て、私はそう思った。
 数刻前まで、浮かんでいく我が身を、懸命に引き戻しながら、泳いでいたではないか。天命に逆らおうと、必死に体を動かしていたではないか。私が見惚れるほどに。
 命はなんと儚く美しいのだろうか。

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