何を信仰するのか
私は無宗教で不可知論者です…という書き出しをする時は、宗教についてお話する時です。
宗教に全く興味がないか、というとそういうわけでもなく、その教えのロジックとか、その中身などにはとても興味があります。
(天照大神とイエス・キリストは同一人物、なんていう話は大好物です)
以前の日本は世間話の中で、政治と宗教の話題はタブー視されていましたが、今ではそのような環境でもなくなったようです。
そして今、元総理の銃撃事件を発端にその昔、国内で大きな騒ぎとなった団体が今また騒ぎとなっています。
先日、この団体が行なっていた記者会見を観ていてその杜撰さというかお粗末さというか、呆れ果ててしまうような内容に苦笑いするしかないと感じたのですが、その記者会見の中に2世信者と呼ばれる人たちが出て来たのを観て、考えてしまいました。
いわゆる元2世信者という方々はその団体や教団から抜けた後も、身に染み付いたその教義に悩み苦しむ姿をこれまでカウンセリングの中で見て来たからです。
今、騒ぎを起こしている団体に所属していたかどうかは分かりません。
カウンセリングに来られた際、そこまで確認をすることはしませんし、お客様から話されることもありましたがこの団体の名前は出て来ませんでした。ですが恐らく、その団体の脱会者もいたと思います。
(この団体の他にも問題がある宗教団体が存在する、ということではあるのですが)
何しろ生まれたその時からその教義に染められ、その信仰に身を委ねることが「普通」になっていた方々です。
そこの教義が「学校」を否定していれば学校に行けず、俗世間の話題は悪だとの教えがあれば身の回りにTVや新聞、雑誌などは一切なく、その団体が推奨する絵本などしか身近になかったりするわけです。
友達といっても「俗世の人間と関わるべからず」であれば友達も同じ境遇の2世同士と限られてしまい、その世界観や価値観は相当偏ったものになってしまいます。
これまで私の元にカウンセリングで来られた方は大人になる過程の中で自分の境遇に疑問を感じ、積極的に外の世界の情報を得ることで自分がいる環境のおかしさや矛盾を知り、結果として親を裏切るような形になってもそこから抜け出そうと決意をされてきた方々です。
そこまでの決意に至るまでにも様々な葛藤があり、そこまでの間にも身に付いた教えがのしかかって来て苦しかった、と話されますし、いざ外の世界に出てもそこでの一般常識と自分がそれまでいた世界の常識の落差に戸惑い、そもそもコミュニケーションの仕方もよく知らないまま大人になっていますから、人間関係を築くことが出来ず苦しんでいたりします。
脱会後も親との関係で苦しむ方もいれば、親が献金のためにした借金の取り立てに遭っていたような方もいます。
果たしてそれって宗教なんでしょうか?
人にはココロの拠りどころが必要であり、それが宗教でもそれは構わないんです。
「鰯の頭も信心から」の言葉通り、誰が何を信じようがそれは自由です。
ただその信仰によって自分以外の人間を傷付けて良い、というのは既に宗教でも何でもないと私は考えています。
お金を積めば積むほど徳が上がるとか、信者を獲得すればするほどステージが上がるとか、何をか況やです。
自分のお金をすべて渡して、一人で破産する分には別に良いんです。
ですがそれによって家族が崩壊するのであるならそれはもう宗教でもなんでもなく、ねずみ講とかマルチ商法の類と同じ「犯罪集団」と言って良いでしょう。
脱会した方々を救う道を私たちも手伝わなければ、と思いますし、政治もしっかりと手助けをして欲しいと思います。
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