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小春日和で思い出す

昨晩の雨からの晴れ模様。
気温も上がって来て、小春日和という言葉がぴったりな陽気になりました。

小春日和というコトバを聞くと、思い出すのはさだまさしさんの「秋桜」です。
(世間的には山口百恵さんの方を思い出す方の方が多いかも知れませんが…)

中学時代、あまり友達付き合いが無かった私。
お年玉を握りしめて楽器屋で一番安いヤマハのフォークギター(今はアコースティックギターって呼ばれてますね)を購入。

さだまさしを始めとしてアリスや松山千春の曲なんかをコピーしていました。
ギター初心者が挫折すると言われる「F」コードは、簡易コードを使うことでクリア出来たものの、奏法で挫折しかかりました。

ギターの奏法は大きく分けて二つ。
ピックを使う「ストローク奏法」と指(爪)で弦を弾く「アルペジオ奏法」

私には爪の奇形があるため、アルペジオがうまく弾けませんでした。
弾いてみたかった「秋桜」もそうですし、アリスの「秋止符」もアルペジオがメインの曲。
挑戦はしたのですが、爪が他の弦に引っ掛かってしまい余計な音まで出てしまう。

さて、どうしたものか…

ピックを使ってアルペジオが出来ないか…
そこからピックで一本一本の弦を弾いていく弾き方を練習しまくりました。

その際練習曲にしたのが「秋桜」でした。
この曲は比較的テンポがゆっくりで、音も一つ一つ出すタイプでしたから、練習にはぴったりでした。

更に「秋止符」はスリーフィンガーというアルペジオを使っているため、ちょっとスキル的には難しくなるため、次の課題になりました。
(長渕の「巡恋歌」なんかもスリーフィンガーの代表みたいな曲ですね)

ある日、何故そうしたかは思い出せないのですが学校に「歌本」を持って行ったことがあったんです。
(歌本とは、当時のヒット曲なんかの歌詞とコードが載っている本です)

休み時間にそれを見ていたところ「お前、ギター弾けるの?」と声を掛けてきた人間が。

そいつは普段からおちゃらけた奴でしたが明るくて、クラスの人気者。
私とは真逆の人間で、縁が無いモノと思っていたのですが、そいつが目立つことのない私に声を掛けてきた。

「うん、ちょっとだけど…」と返事をすると「誰が好きなんだ?」と言われ。
「さだとか、アリスとか…」
「おお、良いじゃん」
「…」
「今度の日曜、ギター持って家に来いよ」

中学に入って初めて、他人の家に遊びに行ってみるとそこには名前は知っているけど話したことは無いよく知らないやつ、顔も名前も知らないやつが男女で6人程いまして。

当時の私が通っていた中学校は一クラスが45人、それが12クラスありまして、1学年でも2フロアに分かれていたため、名前も顔も知らず、話すこともないまま卒業するなんてこともありまして。

そこに集まっていた連中はそれぞれにギターを持っていて、歌本やら楽譜が置かれていて、それぞれにギターを弾いたり唄ったり。

「お前もなんかやってみろよ」
私はその時に練習していた「道化師のソネット」をピックを使ったアルペジオでイントロを弾き始めると…
そこに居たみんなの目が私の手元に集中したのが分かりました。

アルペジオってピックは使わないモノ、という認識が崩れたようで、私がどんな風に弾いているのか興味を持ったようでした。

「すげーじゃん、お前」
何だか嬉しいような、恥ずかしいようなくすぐったい気持ちになったことをよく覚えています。

それからは毎週のようにみんなで集まってはギターを弾いて、その連中で文化祭にも出て、と暗かった私の中学時代が一時期、明るくなった瞬間でした。

小春日和というコトバで、こんなことを思い出しましたとさ。

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