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80歳のジジ放談・H3ロケットの打ち上げはもうやめたらどう?

 H3ロケットの打ち上げ失敗は大きなニュースになりました。資料を集めて、そのうち、ジジ放談のテーマにしようと思ったのですが、ニュースが冷めないうちに「放談」いたします。日経新聞の記事をベースにして振り返ってみます。

 3月9日朝刊の記事
「H3失敗、災害対策にも影」という見出しで、「新観測衛星メド立たず」の小見出しがついていました。というのはH·3には観測衛星の「だいち3号」が搭載されていたからで、これは記事によると災害時の被災状況把握などに使う予定、だったそうです。
「だいち3号の開発費は280億円で三菱電機が設計や製造を担った」と報じています。ロケットの打ち上げには100億円がかかるそうなので、今回の失敗で都合380億円が一瞬で吹っ飛んだことになります。

 今回の失敗には予兆がありました。
3月4日日経新聞朝刊の記事。
H3歳打ち上げ「6日に」・・・というタイトルです。
「H3は現行のH2Aの後継機に当たる国の主力ロケットだ。JAXAと三菱重工業が14年から開発している。開発費として2000億円を投じている。1回当たりの打ち上げ費用をH2Aの100億円から50億円ほどに半減させる目標を掲げる」と。「JAXAは2月17日に種子島宇宙センターでH3の打ち上げを試みたが、発射の直前に中止となった。JAXAは3日、記者会見を開いて原因と対策を説明した・・・目標とする22年度内の初飛行に向けた機会は限られる」と

 JAXAの発表はとても慌ただしく、「年度内のしばり」があって、長々と点検してはいられない、追い詰められた雰囲気がありました。と言うのは、2月17日の打ち上げ「失敗」(政府やJAXAは「中断」と説明)が前提になっていて、軽微な原因がいくつか重なっている可能性もあったにもかかわらず、年度内打ち上げを目標にして、点検を急いだのではないか、という危惧を持ったのは爺さんのいつもの杞憂だったのです。今回の失敗は2月17日の「失敗」の段階ですでに兆候があったと思われるのです。
 もちろん、素人の「爺さん」に何が分かるか、という声もあるでしょうが、その一言で黙らせるのはどうかと思います。私は2月の「失敗」を政府やJAXAが「中断」と言い換えた時点で今回の失敗がほぼ確定したように思えたのでした。失敗ではなく「中断しただけ」だから原因追求が甘くなるだろうと予想を働かせるのはトシヨリの特徴(老婆心・老翁心)でしょうね。

 2001年〜2016年(15年間)の世界のロケット打ち上げの数字をネットで拾ってみると
日本 40回(内成功39回)・・成功率98%
欧州 116回(成功113回)・・97%
中国 176回(成功171回)・・96%
米国 266回(成功255回)・・96%
ロシア 304回(成功228回)・・95%

1990年〜2016年(25年間)
欧州 219回(成功212回)・・97%
ロシア 671回(成功639回)・・95%
中国 220回(成功208回)・・95%
米国 551回(成功520回)・・94%
日本 58回(成功53回)・・・・91%
 なお、2022年、世界で打ち上げられたロケットは186回。
アメリカは民間企業のSpaceXが年間61回、政府(NASA)が主導する打ち上げ回数を含めたアメリカの総打ち上げ回数が78回だそうなので8割近くが民間ベースで打ち上げられています。
 また、2017年から今回の発射まで7年間に日本は22回ロケットを打ち上げています。成功率は世界一です。

 2001年〜2023年の間、日本は62回打ち上げていますが
打ち上げ費用は62回✖️100億円=6,200億円です。
 宇宙事業は今後ますます需要が大きくなる分野とされ、膨大な国費が投じられていますが、事業が軌道に乗れば三菱重工業の事業となって、国民には事業の直接的なメリットはありません。災害時の情報収集に役立つ衛星や外国からの衛星打ち上げの需要が見込まれるというのが開発の趣旨ではありますが、限定的ですし、外国の情報収集衛星は日本の国民には直接のメリットはありません。
 H3の開発費が2000億円、衛星開発費が一件で300億円、
直近の7年間の打ち上げ費用が6200億円。
打ち上げに失敗すれば一瞬にして何百億円がパア!

ところで、昨日、市民税の申請書を書きあげたけど、この4年間、毎年年金が下がっていたのには驚きましたね。ロケットはこの辺で「打ち止め」でいいのでは?

〈表紙の写真はやタイ料理屋、バンコク・スリオン通り〉

昼間のタニヤ通り、かつてのカラオケ屋は激しい勢いで閉店している
スリヲン通り(バンコク)の老舗ホテル・タワナラマダも閉店中(2023.02)


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