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Acupuncturist・Lady(鍼灸師・娘)
「今日も我が家は」
義弟の失踪
宇都宮から東北道、首都高から油壺に向かって車を走らせる、この狭い空間に家族が4人が乗り合わせるのは義弟の長女娘の結婚式以来だね。と・・・
いつも、家族揃うといつも独特なパワーが宿るような気がしているのです。
以前にも主人がビンテージのギターでトラブルになりそうな時にも娘と息子がタッグを組み危機を脱した事があるのです。
私は昨夜の夕食の時を思い出していた。
気が付かなかったが娘も息子も今日の為に娘は義弟の長女に、息子は義弟の長男に寄り添って話しを聞いていたのでした。
そんな配慮のできる大人になっていたのだなぁと胸が熱くなったのです。
彼等が幼い頃に皆んなで苺狩りや豊島園に遊びに行った事を思い出しておりました。
それは本当に数日間の事なのでした。
車の中では義弟の話になり、義妹の言っていたFXの借金の話しになった。
すると主人は「700万?って言ったか?何故か俺は腑に落ちないんだよ、たとえそれが本当だとしても義弟だけの問題だと思えないんだ。」
「もし、それで自殺すると言っているらしいけど、そしたら家のローンを組む人はどうするの?」と私。
「ねー叔父ちゃんはどんな格好しているのかな?」と娘。
「んー、どうだろうか?特徴があるのかな?」と私。
すると、主人の家系の特徴で白髪であるので特に義弟は真っ白なのである。
「髪を染めたのがいつかは分からないが10日は経っているからきっと白く抜けてカッパみたいなってるよ!きっと!」
「生きていればね!」と言いたい放題なのでした。
すると主人が「あいつは臆病だから死ぬ勇気なんてないよ!」と断定的に言うのでした。
「ねー!どうでもいいけど、履いて出て行った靴の特徴ぐらい聞いてみたら?」と娘。
「エッ?誰が聞くの?」と私。
「ママに決まってるじゃん!」と娘。
「エ〜?嫌だよ〜!何て聞くのよ、家族で探しに来てるの知ってるの?何て説明するのよ〜!」と私。
「多分、知ってるよ、私、(○○○義弟の娘)に昨日,写真を送ってもらったりしたから。」
すると、まるで見計らったように私の携帯の着信が鳴った。
「キャー!怖いよー!義妹からだよ、どうする?」と私。
「早く出な!」と皆んな。
「もしもし、うん、うん、分かった。あのね今,家族で探しに来ていて首都高速なんだけど心当たりとかないかな?出て行った時の服装とか靴なんか分からないかな?」と聞いた。
彼女は娘と話し合い探偵を雇うと言ってきた、それはビックリするほど高額なのでした。そして私達が探しているのを聞いてちょっと狼狽えたように「何処を探しているのですか?」と聞いてきたのです。
神奈川に入るあたりだと何処か思いつく場所が無いか聞いたのですが、素っ気ない感じて「ありません!」と言った。
「そちらの方面では無いと思います。」と確信めいた言いかたをした。
そして服装については分からないと靴については赤のラインの入ったNIKEのスニーカーじゃないかと言った。私はもうドキドキしていて正直何を話しているのか分からなくなっているのでした。
横から子供達が「余計なことは言うな!」と小さな声で私を突いたのです。
とにかく何かあったら報告するからと電話を切ったのでした。
「やっぱり、怖かったよ!何か変だよー!おかしいよ!」と言ってしまった。
何か?高額の探偵を雇うと得意げな彼女の態度は違和感でしか無いのでした。
我が家の家族のみなさんは義妹に不信感を持つのでした。
電話の彼女は私の知っているぎこちなくて美人で人見知りの笑顔が優しい彼女の姿が思い浮かべなくなっているのでした。
様々な高速道路を乗り継ぎ油壺に着いたのはお昼すぎでした。
小学校の修学旅行以来だなと歩き始めた。
平日の油壺公園は閑散として主人と子供達は先に海岸の方へ行ってしまったようでした。
私は人が入って身を隠せるような場所をまるで子犬や子猫を探すかのように「○○ちゃん!」と彼の名前を呼んでいたのです。
海岸が見えると幾つもの岩が見えて素晴らしい景色なのでした。
海岸に降りるには断崖絶壁を降りなければ砂浜には行くことができず既に主人も子供達も降りて探している姿が見えたのでした。
主人と息子が息を切らして登って来たが気になる場所はあったが、断崖絶壁は簡単じゃなかったのです。
「ここじゃ無いよ!東屋が無いもん!」と娘。
「他に行こう、俺が運転するよ。」と息子が疲れている主人を気遣ってくれたのでした。
そして鎌倉を目指したのです。
途中、途中車を止めて東屋をチェックしたりホームレスの方をチェックしていくすでに3時を回っているのでした。
出会う人に写真を見てもらい、情報が無いか聞くと皆さんとても親切に聞いてくださるのでした。
ある方は私が砂の上を歩きずらそうにしていてるのを「俺が見て来てあげるからここで待ってて・・・」と言ってくれるのでした。
海岸線の奥に富士山が見えて素晴らしい夕暮れなのでした。
「秋の夜は、つるべ落とし」もうすぐ暗闇になってしまう・・・私は気が急いているのでした。
夕焼けにそまる海岸と美しい富士山、きっと一生忘れない景色になると悲しく虚しい気持ちになったのでした。
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すると誰かが「駅に行ってみないか?」と言ったのでした。
近くに大船駅がありました。
Pちゃんも「駅と東屋を行き来している」と言っていた。
大船駅はさほど大きな駅ではなかったが帰宅を急ぐ人で混雑しているのでした。
大船駅に着き、私が運転席で待機して待っていると主人が警察官に写真を見せて何か喋っている姿が見えたのです。
誰もが「此処には居ない」と感じて車に戻って来たのです。
そして主人は「警察官はダメだな、捜索願いを出してくださいの一点張りで終わりだ!」と言った。
もちろん捜索願いは出してあるはずだ。
おそらくマニュアル重視なのだろう,多分書類として処理されただけと感じるのでした。
駅を出ると既に暗闇の中だった。
すると「腹減った!」と息子
近くにあったファミレスに入った。
私はただボーっとメニューを見て「食べられそうに無いな」と呟くように言うと「食べなきゃダメ!」と言われてキノコ雑炊を注文するのでした。
運ばれて来た水を飲むと皆んな黙っていた。
「なんで?家族でこんな事してるんだろう?」と悲しく思った。
食事が運ばれて来ると何時も通りの家族がいて、たわいのない話しで気を取り戻すことが出来たのです。
キノコ雑炊は私を温めてくれたのでした。
お店を出ると主人はPちゃんにこれまでの報告をしてまだもう少し探してみるのでと言うと、「帰りにもし寄れたら横浜駅に行って欲しいと携帯を側に置いてるので遅くなっても連絡してください。」
と言うのものでした。
「Pちゃん、本当に心配してくれていたよ。」と主人が言った。
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