3/9 『経験 この10年くらいのこと』を読んだ

面白かった。
くりぃむしちゅー上田が40代の間に起きたこと、感じたことなどを書き綴ったエッセイ……というのはめちゃめちゃよく着飾った言い方で、その実は何のことはない、ラジオとかMCの合間とかでよくブッコむ小話の数々、そしてたとえ突っ込みの数々の集成だった。つーかネタ本だこれ!
これの前に読んでた本が爆笑問題・太田光の『芸人人語』で、それが近年の時事を話題にとても真面目なことを話す内容だったから、ついうっかりこちらもそんな感じなのかと思っていたが、そうだそうだ、上田晋也というひとは、くりぃむしちゅーという芸人は、こういう感じであったな。知ってたけど失念してた。
しかし上田の言葉を文章として読むのは初めてだというのに、実によく耳に馴染んだ。非成長記録とはよく言ったもので、くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンを聴いてたあの頃のまんまだった。上田も俺も。10年間の経験を本にした結果、10年前のラジオと一緒だったというのも、なかなかすごい。
各エピソードは長さもバラバラだが、スポーツ関係、とりわけボクシングの話になると文章量が見違えて増えていて、愛と情熱のほどが感じられた。いや、長さ=愛と情熱と言ってしまうと、息子のエピソードがどれもおおよそ2ページで終わっているのがちょっとアレになってしまうけど。小話としての完成度は高い。息子。
途中に挟まれてる昔話突っ込み、これこそマジでただのネタコーナーだけど、後書によるとどうやらこっちの企画が書籍として先にあったらしい。そのわりには3本しかなかったけど。第2弾を書こうみたいなこと言っていたから、今度はこのネタだけの本を書いてみてもいいんじゃないかな。

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