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2023年1月の記事一覧

1/30 『柳生十兵衛死す 上』を読んだ

山田風太郎で読んだことがあるのは『魔界転生』だけで、十年くらい前だったが、そこそこ苦労した覚えがある。けれどこの作品はあのときの思い出に比べると格段に読みやすく感じる。俺の〝読み力〟がいつの間にかいちじるしくせいちょうしていたのかと、最初は思っていたが、そうではなく普通に山田風太郎が優しいだけだ。難しい漢字をひらいたり、地の文で当時の歴史事情などの解説も現代語を用いつつ頻繁に差し挟まるし、会話文においても読者に分かりやすいよう、たとえば天皇の呼び方もおくり名にしてくれたりする

1/15 『ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女』を読んだ

初めて読む作家。手に取った経緯は、地元の書店を用も無くぶらぶらしてて、冷やかすだけなのも悪いから何か一つ買ってくか、と思って適当に……しいて言うならタイトルがかっこ良かったから……買ったのだったか。 女王の持つ廃墟の鍵に秘められた謎とは……という引きで物語が展開していくかと思ったら、わりと早くそれは開示された。隠されしものの正体は昔の戦争でつかわれた武器で、しかも別に昔の武器というのも超古代文明の失われた超技術で製造された超粒子ビーム砲とかそういうんでもなく、60年前の鉄砲と

1/9 『不夜城』を読んだ

初めて読む作家。手に取ったきっかけは、そもそもはこの本作の次作に当たる『鎮魂歌』が、冲方丁が『シュピーゲル』シリーズなどで用いる所謂クランチ文体――の、源流と言われているジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』の文体――を、冲方丁よりも早くオマージュしているという話を聞いて、いつか読んでみたいと思っていたのだった。そしてオビを見る限り、作者が直木賞を受賞したのをきっかけにまずはその第一作目である本作を購入したらしい。 ちなみに『ホワイト・ジャズ』は数年前に読んだことある。い

積読リスト(2023年1月現在)

現在、馳星周『不夜城』を読んでいる。 こんなことを世間に向けて書いてもかなり無意味なのだけどたまに忘れることもあるので、備忘録としてリストの見方を書いておくと、まず、日々の中で本を買う。そしてすぐに読むつもりのないものは、このリストにタイトルを記しておく。 ただし必ずしも買った順に読むわけではない。読む順番は、本のISBNの末尾番号によって決定される。例えば末尾番号が2なら、リストの2番目にその本が配置される。末尾番号が1の場合は1番目に、そして末尾番号が0の場合も0番目と