1/30 『柳生十兵衛死す 上』を読んだ
山田風太郎で読んだことがあるのは『魔界転生』だけで、十年くらい前だったが、そこそこ苦労した覚えがある。けれどこの作品はあのときの思い出に比べると格段に読みやすく感じる。俺の〝読み力〟がいつの間にかいちじるしくせいちょうしていたのかと、最初は思っていたが、そうではなく普通に山田風太郎が優しいだけだ。難しい漢字をひらいたり、地の文で当時の歴史事情などの解説も現代語を用いつつ頻繁に差し挟まるし、会話文においても読者に分かりやすいよう、たとえば天皇の呼び方もおくり名にしてくれたりする