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2020年12月の記事一覧

12/27 『神を統べる者 上宮聖徳法王誕生篇』を読んだ

面白かった。三部作最終巻、これまでの総決算的なスケールでするすると読めて楽しかった。なかなか難しいかと思ったが、結局苦労したのは1巻と2巻の序盤くらいのものだったな。それってつまりほぼ史実に無い部分ということではあるが、それを経ての今巻で倭国に戻ってきてからの話はあんま詰まることなく読めたし、伝奇様々だ。 インドで仏教の真髄を極め悟りを得た厩戸が国の政治に携わるにあたり、せっかく手に入れたブッダという状態を停止させる決意に至るところは、なかなか感動する。平たく言えば還俗という

12/15 『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 2 「case.双貌塔イゼルマ(上)」』を読んだ

面白かった。 ほぼ平行して読んでいた『錬金術師の密室』と「ファンタジー世界でのミステリー」「密室バラバラ殺人」「主人公らがかけられた容疑を晴らすべく捜査に乗り出す」など要素が被っててちょっと混乱しかけた。といってそれしきのことじゃパクリとは呼べず、いくらでもオリジナリティをぶち込めるところがファンタジックミステリーのいいところ。加えて、この作品には型月世界の様相を知る副読本的な側面も期待している。じっさいこの上巻では魔術世界の業界事情に大きく紙面が割かれてて、事件の謎などは全

12/7 『錬金術師の密室』を読んだ

面白かった。 ファンタジィとミステリィの融合ということで僕としては当然ながら上遠野浩平の『事件』シリーズを思い起こしながら手にとってみたわけだが、目次の章題などを見るとひょっとして作者の人も意識したりしてたのかな、と思わざるを得ない。つって、章題が他作品のもじりだとして、一個しか元ネタわかんないんだけど。 ファンタジィ要素である錬金術の設定はどうやらよく作り込まれていて、事件やトリック、あるいは物語のために設定を作ったというより、広大深遠な設定世界のごく一部で今回の事件は起こ