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2020年6月の記事一覧

6/28 『FGOミステリー小説アンソロジー カルデアの事件簿 file.01』を読んだ

面白かった。 タイトル通り、ミステリー作家たちによってミステリー風味を増量させたFGOのアンソロジー小説集。作品によって、ゲームシステムをどの程度”現実”的な描写に落とし込んでいるかといった違いなどが楽しめた。特に、「Malice or Romance」で語られたAPの概念は、実はゲームよりも”現実”的なものとして扱われていたのではないかという気さえする。レイシフトや現実を精巧に模したシミュレーターとかって身体や脳にかかる負荷とかも大きそうだし、そこでAPという疑似的な数値を

6/24 『それでも、警官は微笑う』を読んだ

面白かった。 メフィスト賞受賞作というだけで買った初作家の本だったが、さすが信頼と実績のメフィスト賞あるいは震撼と叱責のメフィスト賞、楽しめた。初っ端からいきなり下半身丸出しの成人男性がお出しされたのには面食らったが。 警察の武本&潮崎、麻取の宮田、双方の視点から事件の謎とその裏に隠された巨大な陰謀に迫ってゆくーーかと思いきや、わりと早くに犯人の視点が入り、そこから事件の謎や渦巻く陰謀なども明らかにされ、犯人の身の上さえ語られていってしまうので、中盤時点で読者は物語をおおよそ

6/19 『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を読んだ

面白かった。 原作の番組(と言うべきなのか……分量にしても内容にしてもこちらの方が”原料”分は濃いとは思うが、まあ先に世に出たのは番組の方なので)は初回だけ観ていて、すごいもん観たなと思ったものだけど、この本ではその更なる広がりと更なる深まりが垣間見られる。 ただし、そこで繰り広げられる光景というのは、想像を絶するといった類のものではなかったように思う。本書で紹介された場所というのは、程度の差はあれ、けして我々の手の届かない場所ではない。そこにあるのはよくある貧困、よくある闇

6/5 『マルドゥック・アノニマス5』を読んだ

面白かった。 相変わらず時系列が狂喜乱舞している。序盤は囚われのウフコックがそうなるに至るまでの回想という体裁だったが、ウフコックがバロットに助け出されてからはそこからの脱出パート(最新時系列)と、ウフコックを探すバロットやイースターズ・オフィスのフェイズと、ウフコックを手中に収めたハンター達のフェイズが交互に描かれるかたちだが、バロットフェイズとハンターフェイズも時系列通りにピッチリ組み合ってるわけでもない。この時空乱舞とそしてとうとう3ページにわたっちゃってる登場人物たち