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2019年5月の記事一覧

5/22 宇野朴人『七つの魔剣が支配するⅢ』を読んだ

面白かった。 一年生編を締め括るテストとクエスト。『魔に呑まれ』た上級生とその末路。ある意味ここまでがひとつの教科書ともいえよう。この世界ではこうした手順を踏んで魔法使いが生まれていく、と。 主人公たちの未熟さ、しかしながら引き立つ可能性の強み、対する学園の奥深さとその中で生きてきた上級生たちの厚みを、慎重にバランスを取りながら余すことなく描くワザマエに脱帽……とか生意気なことを思いつつ楽しんだ。オフィーリアの宝具展開、ではなく絶界詠唱も格好良い。 その末路も。無限に混

5/12 上遠野浩平『ブギーポップ・オールマイティ ディジーがリジーを想うとき』を読んだ

面白かった。 『VSイマジネーター』の後日談でありつつ『ブギーポップ・ストレインジ』の後始末。薄々予感していた気もするが、ひょっとすると『ストレインジ』はもう直接描かれることはなく、こうして残滓や影響だけが語られていって、それによって輪郭を浮かび上がらせるという手法なのかも。あたかも第一作『ブギーポップは笑わない』がそうであったように。 そうした『ストレインジ近辺編』の中でも今作では新たに描かれたことも多く、特に霧間凪の水乃星透子に対する感情が垣間見れたのは嬉しい。確かに

5/1 新八角『ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?』を読んだ

面白かった。 作者買いしたはいいものの、正直に言えば、グルメものとか料理ものって俺あんま響かないというか、小説や文章で料理や食事の描写されてもあんまよくわかんないんだよな……とやや不安だった。ナニにナニを合わせればナントカ味が引き立ってナンツァラ、みたいなことを言われても「はーん…………はーーん……?」て感じでピンとこない。料理もしない、基本偏食のジャンクバカ舌なので。ぶっちゃけ作者の前作『滅びの季節に《花》と《獣》は』でも料理のシーンなどあった気がするが、それもピンときて