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おいしいおやつ、ごはんを食べながら。

高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』を読んだ。

第167回 芥川賞受賞作。
なんとなく、穏やかではない話と聞いてはいたが、帯の「最高に不穏な傑作職場小説」という言葉どおり、最初から最後まで不穏な空気が流れていた。
可愛い装丁とタイトルからは想像できないような。


あらゆることに疲れきった金曜日、体力も気力も限界を迎えつつあったが、帰りに喫茶店で読みかけの本を読むぞ!と思いつき、これはいいアイデアだ、と少し気分が上がる。

軽く甘いものを食べるつもりががっつりお腹も空いていたので、ご飯も一緒に済ませてしまおうと決める。
食べたもの。ホットケーキ+コーヒー2杯+きのこのクリームドリア、サラダ。
端っこのチーズが焦げてカリカリしていたドリア、めちゃくちゃ美味しかった。

窓際の席で集中しながら読む。
おやつとごはんを食べながら、最後まで一気に読み切った。

主人公 二谷が芦川さんを心の中で軽蔑しながらも付き合い続け、このまま結婚してしまうとゾッとしたし、最後まで二谷の腹の底がわからなかった。
あのあと、二谷はどうなってしまうんだろう。

話は戻り、この日は帰宅してお風呂に入り寝るだけと思うと、本当に気が楽だった。
そういう意味では、1日3食用意する面倒さというのはとても理解できる。
私も一緒に暮らす家族はいるが、基本的にごはんは自分で用意しなければならない。
栄養あるものを食べたいけど、自炊は面倒だし、そんな体力がなく疲れ切った日だって山程ある。
けれど食べることに興味がないわけじゃないし、むしろ好きなので、そこまで大変に感じている方ではないと思う。
二谷のように食に興味のない人からすると、相当大変そうだな、とも。

芥川賞受賞作ということで沢山の人に読まれているだろうし、生きていく上で避けて通れない「食」がテーマになっているので、他の人はどんな感想を持つのかなと気になったりもした。

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