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2021年ベストソング3選[海外編]

良かった曲、あまりに多過ぎるので日本と海外でそれぞれ3曲ずつ挙げようかと思います。

今回は海外の楽曲から3曲選びました。各ジャケ写の下にYoutubeリンクを貼り付けたのでぜひ利用してみてください。



3.Jason Chu/Alan Z 「Model Minority」

モデルマイノリティは、ある社会の中での人口で(人種・民族的に)少数派でありながら、社会平均よりも「成功」している人々のグループのこと。高学歴で勤勉で、犯罪に手を染めず、高所得の職や高い地位に就く、いわば「マイノリティのお手本」だ。言葉の発祥は、1966年に発行されたUS News& WorldReportの記事にて、アメリカの社会学者ウィリアム・ピーターセンが、アメリカで軽視された少数民族にもかかわらず成功を収めたアジア系アメリカ人を説明するのに用いたこととされている。
出典:モデルマイノリティとは・意味

5月にリリースされた中国系アメリカ人のJason ChuとAlan Zによる、多数の客演を迎えて制作されたコンピレーションアルバム『Face Value』からの一曲。
COVID-19に対する社会不安が、アジア人に対する暴力という形で噴出したことへのカウンターとしての「Stop Asian Hate」というムーヴメントを背景に持つのは間違いない。そういった意味において、この曲およびアルバムは非常に意義深く、重要な作品である。しかし、私がこの曲で思ったのは現代の日本社会のことだ。もちろんこの「モデル・マイノリティ」という概念を単純に日本社会に敷衍することはできないが、「出る杭は打たれる」とよく言われるようなこの閉塞感の正体に近いものがあるのではないか。
テレビを点ければ「東大王」なんて番組がまだやってる。メディアが作るイメージは目指すべき模範として称揚され、消費され、誰かを閉じ込める檻となる。
「努力してああいう風になりなさい」、「なんでお前はああいう風になれないんだ」、「私はどうしてああいう風になれないなんだろう」、誰もが生産された模範に踊らされている。
模範とされる側も、聡明な人ほどよく分かっている。そんな簡単に人間はカテゴライズできない。彼らは都合のいい透明人間ではないし、そんな人間はこの世に1人もいない。

「私達は模範じゃないし、一枚岩でもない」
「私達はあなたらの主張のための武器では無い」
「私達は透明人間ではない」

なんだかやけに堅くなってしまったが、サウンドは極めて軽快で爽やかだ。もはや「チル」と形容してもいいほどである。強いメッセージほど軽やかに歌われるのだ。






2.Little Simz 「I Love You I Hate You」

「あなたは精子提供者?それとも父親?」
ナイジェリアからの移民としてのルーツを持つロンドンのラッパー、リトル・シムズによる4thアルバム『Sometines I Might Be Introvert』は2021年を代表する1枚だ。本作は「Little Simz」というラッパーが、「Simbiatu Ajikawo」という27歳の女性としての自分に向き合った自伝的作品である。
中でもとりわけ印象的で、最も自らをさらけ出したのがこの曲だ。
「まさか初めて傷心させられたのが親だったなんて思わなかった(Never thought my parent would give me my first heartbreak)」というラインは父親の不在についての愛憎入り交じった複雑な思いがこの上なく表現されている。
そして何より、本曲でのまくし立てるようなラップと映画的な壮大なサウンドスケープは随一であった。
ラップスキルとサウンドを堪能するも良し、既に聴いてる人も改めてぜひ歌詞も見ながら聴いてみて欲しい1曲。





1.Rural Internet 「love」

う、う、う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭

オクラホマ州を拠点に活動する3人組ヒップホップユニットによる3作目のアルバム『escape room』収録の楽曲。なお、このアルバムは各楽曲の曲間がシームレスに繋がれているため、アルバム全体として聴くのが好ましい。本楽曲もアウトロが次曲に食い込んでいる。
アルバム自体ジャンルが入り乱れまくりで、とても一つの枠に当てはめることは困難である。インディーロックでありハイパーポップでありヒップホップでありシンガーソングライター然とさえしている。これほど雑多な音楽性で、生音で使用されている楽器(ギター、マンドリン、バンジョー、カリンバ)も多くあるのにも関わらず全く破綻がなく聞こえる。と同時に今にも壊れそうだ。
物凄く乱暴にまとめてしまえば、「私を受け入れて欲しい」という内容の歌詞のようだが、具体的に何を言っているかが分からなくても問題ない。ボーカルの熱量と強烈なビートだけで、この曲の非凡さは明白だ。


あとがき

特に意識したわけではないのですが、全曲ヒップホップになりました。レッチリ、オアシス、グリーンデイ、ニルヴァーナばかり聴いていたロック小僧の頃からは考えられない耳の変化です。

今回は3曲だけなので特にプレイリストは作成しませんでしたが、2021年のベスト100曲を集めたプレイリストを次回の[国内編]記事で載せようと思います。

ちなみに2022年のベストソングを1月初週からまとめ続けているプレイリストがあるので、是非追加して欲しいです。更新するたびツイートしてます。年間ベストアルバムの記事もそろそろ公開するので、noteもフォロー頂けると嬉しいです。

参考記事

ポッドキャスト等の制作費にします。 ありがとうございます。