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見たものつれづれ帖

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お芝居、歌舞伎、映画に将棋。たまに日常。まれにおいしいもの。心が動いたものの覚えがき。
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#歌舞伎

ニンに合う

ニンに合う

仁と書いてニンと読むらしいけれど、誰かの劇評で見たのだと思う。ニンに合う、という言葉は、役柄がその人にぴたっと合うさまを言うのだそうだ。
3月に猿之助さんの弁天小僧を見てから、ずっとそのことを考えている。猿之助さんの動くさまを見たくて、あのキセル片手にくだ巻く弁天小僧も見なくちゃ!と駆けつけたのだけれど、なんだかいつもほど高揚しなかった。猿之助さんの舞が好きで、踊らないからかな、という気もするけれ

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悪ものが美しいのは舞台だから

悪ものが美しいのは舞台だから

ちょっと前だけど、8月の納涼大歌舞伎のはなし。悪い七之助が大好きなので、楽しみにしていた、盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)。チケットを完全に取り忘れていたから、久しぶりに外国人観光客に混じって幕見に行った。大学時代とか、まだぴよぴよOLだった二十代の頃は、そんなにお金もないし、もっぱら幕見ばかりだった。天井桟敷そのものの高さは、まるで芝居の神様の目線のようで楽しい。なんだか久しぶりにワクワク

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見る阿呆

見る阿呆

なぜかわからないけど、子どもの頃から踊りが好きでした。見るのも自分でやるのも。
わかりやすく衣装の可愛らしさと、漫画の流行もあって、最初にハマったのはバレエ。続いてフラ。
歌舞伎を見るのが好きなのも、存分に役者さんの肉体が動くさまを見たいから、なのかもしれません。
4月大歌舞伎は、猿之助さんの奴道成寺。わかりやすく筋を話すと、道成寺の鐘が出来たから、供養したいと来た人の正体は実はこの世のものでなか

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うわさの助六!(ネタバレ注意)

歌舞伎といえば、助六でしょ?みたいな気がしなくもない。と、いうか、そういう雰囲気をそこはかとなく感じる。
どうやら詳しい人にとっては「やっぱり見なくちゃね」みたいな演目らしい。
私、そのあたりはまったく察しもせず、あまり興味もなかったのです。
というのは、どうやら助六は市川海老蔵さんところのお家芸だというところで、海老蔵びいきではない、というよりむしろ何度か海老蔵さんを他の演目で見たけどいまいちピ

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