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見る阿呆

なぜかわからないけど、子どもの頃から踊りが好きでした。見るのも自分でやるのも。
わかりやすく衣装の可愛らしさと、漫画の流行もあって、最初にハマったのはバレエ。続いてフラ。
歌舞伎を見るのが好きなのも、存分に役者さんの肉体が動くさまを見たいから、なのかもしれません。
4月大歌舞伎は、猿之助さんの奴道成寺。わかりやすく筋を話すと、道成寺の鐘が出来たから、供養したいと来た人の正体は実はこの世のものでなかった、みたいな踊り。
猿之助さんは、稀代一のダンサー。
ミリ単位で常に動き続けて、止まることがない。体を動かしてみるとわかるけど、この止まらないってすごく難しい。たいていの場合、どこかが止まっている。
指の先とか、肩の関節とか。
止まらないようにしようとすると、全身のどこかが力が入ってしまうし、勢いがついてしまう。
私のようなへたっぴは、その勢いや力みが、リズムがずれる原因になり、踊りが台なしになる。
それがない。
すごすぎる!
で、体が常になめらかに動くことがどういうことかというと、時間を操れる、ってことです。
その人の動きが場所を、時空を動かしていく。
ただ、見ている人は、その体が止まらないことを、ずっと動きつづける美しさが、少しでも長く長く続くことだけを、ひたすら望んでいるだけ。
目の前の瞬間と永遠。
見えない時間を感じる。
あぁ、幸せ!!
これぞ、踊りを見る喜び!!
というのを、感じられる夜でした。
私は、ぽかんと口を開けて見るだけ。
#市川猿之助 #奴道成寺 #歌舞伎 #踊り

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