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工藤 弥生
2017年2月19日 21:48
遠い渚のある街でした。彼らはいのちを食べていました。魂を売り肉体を買い、僅かな時間を息していました。渚はいつもそよいでいました。たぷたぷ笑い、くぷりと眠り、砂浜を撫でて過ごしていました。何にも意味はないことでした。空から闇が降り注ぎました。喇叭が響き、星まで震え、全ての者は並んでいました。食べたいのちと生かしたいのち、さいころ一つで数えられても、彼らは何にも言いません。諦めすらも感じられずに