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橋本多佳子 俳句『いなびかり 北よりすれば 北を見る』

「いなびかり 北よりすれば 北を見る」


稲光の閃光

北の方からの閃光

その閃光を反射的に見る

その反射をするしかない自分

北からの閃光であるいなびかり

光の後にくるであろう

体を震わす雷の重低音

・・・

自分ではどうすることもできない自然現象

そして

運命


どうしようもないはずなのに

その稲光の方を思わず見ることしかできない

自分がいる

その悲運

そのように以前は感じていた。

・・・

しかし

よく考えると

稲光がする方を見ることは

決して反射だけではないものがある。


見ないでもいいものとするなら

その方向を見ることもなく

ただ

その場にうずくまっていることもできる。


しかし

その光の方角を見るという。


そこには

受け身でいることにとどまらない強さを感じる。


今は

この俳句から

くじけることのない強さを感じる。


自分の現在の考え方によって

俳句から受け取る感情も変わってくる。


暗くなってきた空を見ながら

稲光の閃光を見るために

その方角である北を見据え

生きようと

力強く決心している

凛々しくも美しい

毅然とした姿が見える。


稲光の中で

命の輝く美しさ

逞しさ


素敵な俳句

素晴らしい俳句




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