歌詞考察(深読みとも言う)~THE ALFEEと1969~

 今回は歌詞の考察をしてみようと思う。
   THE ALFEEの曲に『幻夜祭』という曲がある。名盤『夢幻の果てに』に収録されている名曲である。

https://open.spotify.com/track/6YfiFsXQqTpNDJdokY9cNf?si=d0bc2c4927bc441c

 https://www.uta-net.com/song/58017/

    この曲の歌詞に「バリケード」、「シュプレヒコール」、「アジテイション」という単語が出てくる。ここから連想できるのは学生運動である。この歌詞をさらに読んでいくと、主人公は学生運動に参加した事があり、過去を悔やんでいるように思える。 
 
 また、「幻」という言葉が出てくるが、これは主人公がかつて抱いていた理想を表しているのではないかと私は思う。
 一生懸命自分が思い描いた理想を実現するべく戦っていたけれど叶わず、色んなものを失った若い日々が祭で、今はもうそれも苦い記憶でしかない。けれど、あの頃の仲間ともう一度会いたい、語り合いたいという願いにも似た後悔。

 そして、この歌詞には2回ほど「1969」という数字が出てくる。
 実はTHE ALFEEの曲にはこの数字が出てくる曲が他にもあり、そのうちの一曲が『シュプレヒコールに耳を塞いで』(『JOURNEY』に収録)である。

 https://www.uta-net.com/song/58024/


   『幻夜祭』と『シュプレヒコールに耳を塞いで』の歌詞を比較してみる。         

  『幻夜祭』では1969について、「解放と変革」だったのが「解体と崩壊」になっている。一方『シュプレヒコール~』では1969に「さよなら」を告げ、学生運動を振り返っている様子が窺える。
    そうすると『幻夜祭』が仲間へ向けられたものに対し、こちらは激動の中で愛し合った恋人へ向けたものとも解釈できる。
 つまりこの2曲は対になっているのではないか。

 1969年に何が起きたのかネットで調べてみた。
 主な出来事としては東大安田講堂事件が起きている。また、三島由紀夫と東大全共闘との討論会が行われたり、大学管理臨時措置法案が与党によって強行採決されている。
    更に言うと『二十歳の原点』の著者である高野悦子が20歳の若さで自ら命を絶った年でもある。

 大学の運営に関する臨時措置法 - Wikipedia
 高野悦子「二十歳の原点」案内 (takanoetsuko.com)

 つまりは学生運動が段々に沈静化されていった年が1969年ではないのだろうか(間違えていたらすみません)。燃え尽きていった学生運動に対する苦い想いを感じさせる歌詞を読むにつれ、思い出したインタビューがある。

 THE ALFEEの3人が語る、“続けること”の大切さ 同世代に向けたメッセージソング、初の無観客配信ライブ開催への思いも - Real Sound|リアルサウンド

 この中で高見沢俊彦氏は、

 『1970年代、僕らは高一でした。学生運動の波もひいて、いわゆるしらけ世代、「無気力、無関心、無責任」の“三無主義”のはしりと言われていた。でも自分たちが感じているものと大人が命名したものとの間にギャップはありましたよね。決してすべてにそうだったわけではないけれど、世代的にそう見られてしまったというのはある』
 と語っている。

 大変失礼ながらTHE ALFEEメンバーの生年月日から逆算すると、1969年はお三方は中学3年生。多感な時期に激しく揺れ動く世の中をどう見て感じていたのかは分からない。ただ、高見沢氏の三無主義・しらけ世代と括られた事への葛藤。それと併せて権力と戦う事に情熱を注いだ上の世代に対する、憧れや絶望が入り混ざった複雑な想い。それらが『幻夜祭』や『シュプレヒコールに~』に現れているとみるのは大袈裟だろうか。
 ちなみに、「1969」という数字が出てくる曲は他にも『Rockdom~風に吹かれて~』という曲があり、高見沢氏は1969年という年に相当思い入れがあるのではないだろうか。

 三無主義・しらけ世代については下記記事も参考にさせてもらった。

 無気力・無関心・無責任……日本社会の中枢を担う「しらけ世代」の残念すぎる生態 | 文春オンライン (bunshun.jp)

 ちょっと書き方がネガティブすぎるのが気になるが、それだけ冷めた目で見られていた世代ということだろうか。

     また、歌詞についてはURLを貼付していますが、歌ネットを参照しました。
    以上、THE ALFEE『幻夜祭』や『シュプレヒコールに耳を塞いで』の深読みとも言える歌詞考察でした。
 長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。

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