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3人のおばあちゃん #2

鏡で私の顔を見ると私はおばあちゃんにそっくりだった。嫌でもおばあちゃんと血が繋がっていることが分かる。いつかおばあちゃんの昔の写真を見たら、今の私とそっくりだった。昔はおばあちゃんに似ていると思ったことはなかったけど、年を重ねるごとにおばあちゃんにより似てきていること年々実感する。特におばあちゃんと私が似ているのは口だった。おばあちゃんも私も、腫れぼったい唇だった。たらこ唇だった。あと、性格も少し似ている。私もおばあちゃんも頑固なのだ。それでも、私はおばあちゃん程、頑固ではないと信じている。

おばあちゃんは何故か迫力のある見た目だった。おばあちゃんは黒い服を着ていることが多かった。黒い服に身を包んでいるからか、少し異様な雰囲気を醸し出していた。小さい時、友達に泥棒が私の家に入り込もうとしていたよって言われたことがあった。話を聞くと、その泥棒の特徴はおばあちゃんに当てはまっていた。髪は短くて、黒っぽい服を着ていて、沢山の鍵をキーチェーンに付けて必要な鍵を探すのにガチャガチャ音を立てていたらしい。おばあちゃんは幼いころの私の友達には泥棒のような異質な人物に見えたらしい。

夏に家族とおばあちゃんとで旅行に行った。お父さんが車で運転して、山のふもとに泊まった。放牧されていた牛がいたので牛の絵をかいたり、ガラスの玉を作る体験に参加したりと楽しかった。宿泊していたホテルで、朝方、日の出がきれいに見えるということでロビーに集まっていた。結局、天気が悪く、綺麗な日の出が見れなかったけれど、小鳥が集まっていたので、代わりに私は小鳥の絵を描いていた。そしたら、おばあちゃんが私の描いていた絵を見て、褒めてくれた。私は嬉しかった。宿泊施設を後に、家に帰るため、お父さんが車を運転して、高速道路で車を走らせていた。そしたら後部座席に座っていたおばあちゃんが分岐点でお父さんに分岐点でどの道を進むべきか指図をしていた。お父さんは何回かは言うことを聞いていたが、何回も大声で指図するおばあちゃんに腹を立てたのかいつのまにか口論になっていた。私は黙って二人の口論を聞いていた。お父さんが「絶対にこっちの道の方が速いです」って断言して、そっちの道に車を進めていた。私は、お父さんが言った道が本当に近道なのか心配しながら前方を眺めていたが、特に渋滞もしておらずお父さんが言っていたことが正しかったようで安心した。

おばあちゃんは7人兄弟の長女だった。だからおばあちゃんは気が強いんだってお母さんが言っていた。おばあちゃんが生まれ育った田舎にたまに行くのは私は少し苦手だった。何故なら、そこの田舎にいる親戚の人はみんな気が強くてお喋りだった。私たちのことを都会から来たよそ者扱いしてくるのもなんか気になった。都会から来てるからと事あるごとに言ってきた。おばあちゃんの生まれ育った田舎は山奥で私が普段住んでいる街とは全く異なっていた。田んぼや畑が広がり、緑が生い茂り、空が青く広かった。冬は寒さ厳しく、春には花咲き乱れ、夏には緑に一面が覆われ、秋には自然の実りが豊作となる。おばあちゃんはこの自然豊かな地で、たくましく強く育った。

私は虫が好きでない。どちらかというと基本的に苦手だった。それでも夏は家によく虫が出没した。家の中にゴキブリが出ると私は絶叫した。大声出して、家の中にいる誰かを呼び出してその人に駆除してもらうか、誰も駆除してくれない時は仕方なくゴキブリ駆除スプレー片手にゴキブリと決闘する。おばあちゃんが家にいた時にGが出没した。私は大きな声を出して叫んだ。すると近くにいたおばあちゃんが躊躇せず、履いていたスリッパを脱いで、ゴキブリ目掛けてスリッパを叩き下ろした。瞬殺だった。ゴキブリをスリッパでつぶした後、床をティッシュで綺麗にして、ついでにスリッパに付着していた汚れも綺麗にしていた。手際の良さに圧倒された。

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