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2022年ライオンズ前半戦の戦いを振り返る(野手編)

ヘッダー画像はライオンズ公式HPから拝借しました



前回は投手編を書きましたので、今回は野手編となります。では早速始めていきたいと思います


各選手に対する寸評


#1 栗山巧


開幕から一か月ほどは全く結果が出ず苦しんだが、背筋を伸ばして構えるようになった4月末を境に状態が徐々に上向きとなり、5月29日には自身5年ぶりのサヨナラ弾。ツボにはまれば長打もある”怖い栗山"が戻ってきた。7月9日にコロナ陽性反応で離脱。一軍復帰は8月上旬か


#2 岡田雅利


6月にようやく一軍へ上がるも1試合の出場のみで二軍落ち。7月13日に「左膝関節鏡下半月板部分切除術」で今季中の復帰は難しい状況。若手捕手が出番を増やしており危機感を抱いているだろうけど、あなたにしか出来ない仕事があるので、まずは身体を万全にして欲しい


#3 山川穂高


打撃フォームや野球への取り組み方など、もう一度見つめなおした今シーズン、投高打低なパ・リーグで異次元なペースでホームランを打ちまくる。もちろん前半戦野手のMVP。ただ月ごとに打撃成績が下降しており、V字回復なるか?全てこの選手に懸かっていると言っても過言ではない


#4 山野辺翔


一軍定着へ最後の一山を超えられずにいる。二軍落ちの要因になったと思われる6月9日の二盗失敗も、2点負けている場面でリスクを冒す必要があったのか?「走・攻・守」全てにおいて、猪突猛進すぎるところがネック。早く一芸を見つけ、一軍定着したいところ


#5 外崎修汰


チーム最多の92試合に出場。安定したセカンド守備を見せる反面、中々バッティングの状態が上がってこない。理論派の山川に比べ、感覚派の外崎はどこを修正すればいいのか、頭の中で整理できてないのではないか?3年前の状態に戻るか、気になるところ


#6 源田壮亮


5月6日に自打球を当て「右足舟状骨骨挫傷」に。当初は復帰まで2か月とも言われていたが、1か月後の6月11日に一軍復帰。しかし7月にコロナ陽性反応で再び離脱。前半戦最後の3連戦で復帰となる。打率が2割前半で推移していたが、7月に打ちまくり、今年も「270の男」に近づいてきた


#7 金子侑司


代走要員でスタートした今シーズン、4月19日にようやくスタメン出場を果たすと、打撃好調でレギュラー復活となりつつあったが、5月20日の試合で走塁中に足を痛め、右ハムストリングの肉離れ。無念の登録抹消となる。7月16日の二軍戦から実践復帰、徐々に状態を上げてもらえれば


#8 渡部健人


春季キャンプではA班入りし、一軍定着への足掛かりとするはずだったが、二軍で打率が2割にも満たない絶不調。ホームラン数もさほど伸びず、これでは一軍から声が掛かるはずもない。4シームのPitchValueが急降下しており、速い球を捉えきれてないのでは?


#10 森友哉


4月2日、大量失点でフラストレーションが溜まっていたのかキャッチャーマスクを投げつけた拍子に、右手人さし指の基節骨骨折。この愚行で一軍復帰は交流戦開始までかかり、復帰後は打撃も低調だったが、6月末を境にようやく状態が上がってきた。「山・森」コンビなくしてチームの浮上はない


#22 古賀悠斗


開幕一軍は逃すが、二軍で集中的に出場させ経験を積んだのち、5月に一軍登録。スタメンマスク18試合は森、岡田、柘植の一年目と比べ、すでに上回っており、チームの計画が上手くいった証拠と言える。打率は低いが、四球率12.9%はチーム内50打席以上の中で2位と選球眼に優れている


#30 ブライアン・オグレディ


3・4月は打率も.250ほどあったが、月を追うごとに2割台前半に落ち込み、スタメンを外れる日も増えてきた。ただし本塁打数と意外に稼いでいる四球数のおかげで、6~7月のOPSは微増となっている。なので打率が上がってくれば、本当の意味で頼れる外国人バッターになる


#31 平沼翔太


二軍でも目立った成績を残せていなかったが6月8日に一軍登録。するとカープとの三連戦で【11打席 6打数 4安打 5四球】と驚異的な成績を残す。その後、スライディングの際にひざを痛め、靱帯損傷。貴重なバイプレイヤーとなれるはずだったので惜しい怪我となった


#32 山村崇嘉


開幕早々、長谷川と共に「文春砲」を食らい謹慎。4月13日の練習試合から復帰し、昨シーズンと比べ、打率が.217→.271と大きく伸ばす。コンタクト重視に変えた影響か、引っ張りの打球が減り、三振も大きく減ったが、同時に長打力まで落ちている。6月30日を最後に欠場中


#33 ジャンセン・ウィティ


完全なレギュラー格というより、山川や中村が不在の時に穴を埋める役割での入団だったが、序盤は日本の野球になれず苦しむ日々。しかし7月に入ると、15試合中マルチヒット4回、猛打賞1回と固め打ちを披露。その反面、ノーヒットが8試合と掴みどころがない


#35 若林楽人


左膝前十字靭帯損傷からの復帰を目指した今シーズン、2月20日の練習試合から出場し、徐々にペースアップして怪我からちょうど一年後、タイガース戦で一軍復帰。いきなり6試合連続安打を記録したが、同時に三振が止まらなくなり二軍落ち。本人が膝の不安なくやれるには来シーズンからか


#37 柘植世那


森の戦線離脱により、牧野とスタメンマスクを争う形となり、経験と盗塁阻止率の高さもあって、第一捕手に格上げとなる。しかし現在は古賀に抜かれ三番手扱いに。フライ打球は多いが、Hard%(打球の強さ)が低く、ポップフライになっているのが難点


#38 牧野翔矢


開幕一軍入りし、森の離脱により、スタメンマスクも10試合被るなど貴重な経験を得る。しかし6月21日にトミー・ジョン手術を行い、今季絶望。大谷翔平がそうであったように、打つだけなら打てるはずなので、DHであれば来年早々から復帰可能か。あと一旦は育成落ちの可能性も


#39 呉念庭


開幕から好調をキープするも、5月1日にコロナ陽性反応。5月24日から復帰するも感覚が戻らないのか、低調な成績でスタメン復帰出来ずにいる。ただOPSなどを見ると、昨シーズン終了時とあまり変わらない。変化があるのはライナーが減り、ゴロが増えている部分。ここが戻れば


#46 鈴木将平


オープン戦で結果を残し、開幕戦「1番センター」の座を掴む。しかしこの幸せが続いたのは10試合目まで。目いっぱい振り過ぎた結果、本来の打撃を崩し二軍落ち。もう一度打撃を見直して、6月末から調子を上げ再び一軍へ。現在は見違える成績を残している。今度こそレギュラーを掴み取れ


#49 ブランドン


オープン戦はおろか、二軍が開幕しても欠場が続いていたが、足を痛めていたようで5月24日にようやく初出場。6月1日を最後に再度離脱し、7月14日から復帰している。少ない出場ながら二軍では格の違いを見せており、コンディションさえ整えば、一軍のラストピースになりえる


#50 中山誠吾


ロマンあふれる大型内野手として入団したが、プロの壁にぶつかり悪戦苦闘中。源田の離脱で5月7日に一軍に抜擢されスタメン出場を果たすも攻守に結果を残せず、その後入れ替わりで出てきた滝澤が大活躍したことは少なからずショックだったのでは。とは言え、全てはこれからだ


#51 西川愛也


見るたびに打撃フォームを変更し、迷走している感もあったが、ヒッチを無くし、トップの位置を肩の上段に固めてからはゴツくなった身体も武器に長打を連発し、6月19日一軍昇格。ただし一軍では中々一本が出ない。本当に出ない。ゾーン管理に問題があるのか…


#52 山田遥楓


ムードメーカー兼守備固めとして貴重な働きを見せる元気印。ただ辻監督から「守備固めは滝澤しかいない」とのコメントがあり、評価が低いのか、ただ忘れられていただけなのか?「右投手>左投手」「ホーム>ビジター」「デーゲーム>ナイター」と打撃成績が極端に分かれる


#53 愛斗


3・4月は打率1割台と低迷していたこともあり、佐藤友亮コーチの「バットを短く持ってみるのもアリじゃない?」のアドバイスを取り入れ、打撃も上昇。ただ月ごとの乱高下が目立つ。守備に対しては並々ならぬ意識があり「みんなのために守る」と心強い


#56 川野涼多


4月16日に初の一軍昇格を果たし、初安打も記録。しかし5月4日にコロナ陽性反応。中山とは状況が違うが、その後に滝澤が大活躍したことで「あの時、コロナにならなければ」と悔いていたのでは。二軍ではボールゾーンスイング率が減ってきており、徐々に向上している


#58 熊代聖人


内外野の全ポジションを「中の中」レベルで守れる貴重なバイプレイヤー。近年は打席に入ることもめっきり減ったが、7月に4試合連続で打席に入り、4-2と結果を残し、打撃でもアピールする。コロナによる離脱者が絶えない現状、いなくなるとありがたみの分かる選手に


#60 中村剛也


5月に浮上の目を見せたが、その後、指を痛め、登録抹消。6月末に復帰してからは打撃不振が続くレジェンド。フライ打球%、Hard%、ストレートのPitchValue、ストライクゾーンのコンタクト%などが落ちており、これは動体視力、つまり年齢による影響なのか。衰え説を一蹴してほしい


#62 滝澤夏央


ライオンズファンのみならずプロ野球ファンにもインパクトを与えた新星。源田の離脱を受け、5月13日に支配下登録され、即一軍登録&2番ショートでスタメン出場。源田が復帰するまで見事に穴を埋める活躍を見せる。コロナから復帰後、一軍に残すか、二軍で経験を積ませるか、思案のしどころ


#63 長谷川信哉


開幕早々、山村と共に「文春砲」を食らい謹慎。しかし昨シーズンと比べ、ボール球を振らなくなり、5月終了時点で4割近い打率を残す。6月以降は落ち着いたが、7月2日に支配下登録される。一軍ではボールの見極めに苦戦中。ただ複数ポジション守れるので控えとして残っている


#64 中熊大智


育成4年目を迎えた今シーズン、捕手として15試合、一塁手として14試合、指名打者として10試合にスタメン出場。持ち味のシュアな打撃で3割近い打率を残し、岡田、牧野の長期離脱も相まって、7月13日に念願の支配下登録。捕手との兼任だが、ライオンズ版”銀次”になれるか


#65 戸川大輔


高卒8年目を迎えるが、ハマった時のホームランを見ると魅力を感じるものの、入団以来、ボール球の見極めに課題があり、それが改善できずにいて頭打ち感が見える。立場としては厳しいと言わざるを得ず、ここからどういったアピールができるのか


#66 仲三河優太


2年目を迎えた今シーズン、構えた時にバットを並行に投手側へ向ける独特な打撃フォームで取り組んでいる。怪我なのか、群雄割拠の外野陣ゆえなのか不明だが、中々出番が回ってこないものの、フライ打球とHard%が大幅に増えており、長距離砲としての素地は見える


#68 岸潤一郎


昨シーズンと比べて極端に落ち込んだ成績はなく、wRC+97は愛斗をも上回っている。しかし首脳陣の評価が低いのか、序列が上がらず、6月中旬に二軍落ち。ライオンズに入ってからは振り回すイメージだが、徳島時代は盗塁王にもなっており、それをもっとアピールしては


#72 川越誠司


開幕二軍スタートもボール球を振らないスタイルで一定の結果を出し、5月上旬に一軍入り。追い込まれるとカットしながらヒット、もしくは四球で出塁し、そこで信頼を得る。ただ今度は粘ることがメインとなり、初球から振れなくなるなど、川越に限らずバランス調整は難しい


#73 高木渉


近年、二軍でOPS.800の壁が破れずにいたが、L.マーティンをイメージした構えにして以来、結果が出始め、5月末から15試合連続ヒット。OPSも.980まで上昇し、7月5日に一軍再昇格。徐々に結果が出始めた7月13日にコロナ陽性反応。ホントについてない。早期の復帰を願う


#78 齊藤誠人


今から2年前、打率が1割を切るなど壊滅的だった打撃が前半戦、3割を超えるなど長足の進歩を遂げている。ゴロ打球が極端に多く、BABIPが高すぎるので恵まれすぎている感もあるが、Hard%が上がっており、それなりに理にかなっている。二軍のスタメンマスク15試合はチームトップ


#115 ロマー・コドラド


5月9日に育成選手として契約。まだ磨かれていない原石で成績云々を言う段階には至っていない。育成枠としては3年が目途だが、来シーズンが終わった時に契約を延長すべきかどうか判断するのがベターでは。あと登録名は母国語(スペイン語)読みのロメール・クアドラードにした方が


#123 ジョセフ


4月2日の練習試合からスイッチヒッターに変更

最初は慣れない左打ちということで身体が思うように動かない様子だったが、それとは別に当てに行く打撃が目立っており、そこは解せない。「松井稼頭央コーチの様に」とまでは言わないが、振れないと先はないので


#125 古市尊


独立リーグを1年経験したとはいえ、実質高卒2年目ということもあり、基礎から鍛えている様子。公式戦で7試合、練習試合で7試合にスタメンマスクを被るなど、経験を積んでいる。打撃もまだまだ経験が少ないが、三振2個に対し、四球が4個あり、選球眼はある


#129 川村啓真


6月10日に自主退団。当初、思った以上に打てなくて、プロの壁に悩んでの退団orトラブルに巻き込まれての退団、のどちらかだと思っていたが、自身がトラブルの発信元だったとは(兄に頼まれ断れなかったのであれば、巻き込まれたともいえるが)。6月27日はライオンズファンにとって辛い一日に



まとめ


パ・リーグの情報がアップデートされていないセ・リーグ主催の交流戦で「山賊打線」と紹介されるとむず痒くなるほど、打てずに苦労した前半戦でした

山川がハイペースでホームランを打っているのに、個人の打点を見れば思ったほど伸びておらず、これは一番打者が決まらないというのも大きかった

ただパ・リーグ全体が「投高打低」になっており、ライオンズだけが打てない訳ではないし、山川という唯一無二な存在がいるので、むしろ他のチームにはない武器となっている

とは言え、投手編で書いたように、恵まれている感があり、ずっといい状態が続くとは考えられない。その為にも打撃陣の奮起が求められる

ライオンズは渡辺GMが監督の時から、主力選手の状態が上がるまで我慢強く起用し、その状態が上がってくれば一気にマクる戦い方。2011年や2013年は9月、10月に入って一気にCS圏内に滑り込んだし、辻監督になってからも2017年は夏に炎獅子ユニを着ての連勝劇、2019年も8月以降、ロングスパートを仕掛け、ホークスとのデッドヒートを制し、リーグ優勝となりました

現在で言えば、森であり、外崎であり、オグレディがそれにあたる。彼らの状態が上がり、山川の前後をサポートできるようになれば、投手陣のフォローは可能なはず

あと私のnoteでは何度か書いているが、「レギュラー=規定打席到達」という観点から見て、ライオンズには森友哉より若いレギュラーが中々出てこないという問題がある

そんな中、今シーズンは愛斗が良い線をいっており、前半戦終了時点で241打席。最終的な規定打席は443打席なので、残り50試合で202打席が必要。仮に残り全試合でスタメン出場すれば、下位を打っていたとしても4打席は回るので十分可能な数字と言える

果たして愛斗は近年の課題をクリアできるか。ペナントレースの戦い同様、ここにも注目していきたい


球界でもコロナウイルスが広がりを見せ、だれがいつ罹り、戦列を離れるか、野球とは別の戦いを戦々恐々としながら繰り広げています

予断を許さない状況ですが「後半に強いライオンズ」という他チームのファンからも恐れられているイメージは現場の選手も持っているはずなので、最下位からの優勝目指して頑張っていただきましょう!


では👋👋



参考資料








ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。