【ぱんだ先生に聞いてみよう】第1話 告白して振られた
【登場人物】
ひなた この物語の主人公 男子高校生
花 ひなたが恋する女子高校生
ぱんだ 二足歩行のぱんだ
吹き流しを吹いて
ひなたにアドバイスをくれる
【あらすじ】
校舎裏で男子高校生のひなたは
不器用ながらも真剣に
クラスメイトの花に告白するが、
花は無言で立ち去る。
初の告白が玉砕だった。
ひなたはうなだれて落胆するが、
そんな悲しみに暮れたひなたの前に
突然、二足歩行のぱんだが現れた。
吹き流しのおもちゃで
ひなたに励ましの言葉を送ってくる。
ひなたは、自然とぱんだの支えを
受け入れ、自分の気持ちを整理し、
少し前向きな気持ちになれた。
ぱんだは、ひなたに寄り添って、
いろいろなピンチを助けてくれる
ようになる。
しばらくすると、ぱんだの本当の
正体がわかって、ひなたは驚きを
隠せなかった。
その後、ひなたはどうするのか。
ぱんだという助っ人動物が現れる
現代ファンタジーの世界で
ドキドキハラハラの高校生恋愛物語。
《第1話》 告白して振られた
「好きです!付き合ってください。」
校舎裏でひなたは言った。
赤くした頬をポリポリとかきながら
花は、何も言わずにお辞儀をした。
頭を下げたまま、
顔を見られたくない花は言う。
「ご、ごめんなさい。」
その場から立ち去って行く。
玉砕。
ひなたはがっくりしてうなだれた。
すると、後ろからのっそりと
静かに現れた。
同じ高校の制服を身につけた
ぱんだが静かにひなたの後ろに
近づいてモフモフと言う。
言葉を理解できなかった。
ぱんだは
ポケットから吹き流しのおもちゃを
口につけてピーと吹く。
ひなたの頭の中に意識が飛んでくる。
(振られたな。)
「……吹き流しが通訳?!
テレパシー?
ぱんだが?」
ひなたは、驚いて、一歩後ろに下がる。
指を立てて、こっちと指示を出すぱんだ。
昇降口近くにある花壇のふちを
ベンチがわりに腰掛けた。
ぱんだの目の前でひなたは
同じクラスの花に振られた。
膝に肘をつけて負けたボクサーのように
がくっとした。
またピーと吹き流しを吹く。
(女子はたくさんいるだろ。
前を向け。前を。)
「ぱんだが言うな。
ぱんだが。
パンでも食べてろ。」
完全なる八つ当たりだ。
2年も片思いして勇気を出して、
告白したのに、あっさりと振られたのだ。
そりゃそうだ。
今までずっと見てきただけで会話一つすら
してない。
どこの馬の骨かわからないやつの告白に
OKする女子もおかしな話だ。
ピー
(好きなままでもいいんだぞ。)
「ぱんだがグレーな解答をするんじゃない。
白黒をはっきりつけろ。
ぱんだなんだから。」
半べそかきながら
またうなだれる。
まぁ、何もせずに好きなままでもありか。
少し気持ちの整理ができた。
ひなたはバックを背負い直して、
家路を急ぐ。
ぱんだはパタパタと手を振り、
吹き流しを吹きながら、ひなたを
見送った。
夕日が出るとカラスの一声で
いつの間にかぱんだは消えた。
花壇には吹き流しが残っていた。
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