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ブランディングを少し勉強してみたら意外と面白かった

ブランディングを勉強してみたくなって、いい本がないか探していたところ、だいぶ前に社内のデザイナーさんがブランディングのスライドを作っていたのを思い出して、参照書籍に挙がっていたこの本を見つけました。

これが読み始めたら面白くて、2時間で一気読みしてしまいました...笑

この本の紹介と自分の備忘録を兼ねて、内容をまとめておこうと思います。

どんな本なのか?

さてこの本は冒頭のとおり、ブランディングの本です。

もう一歩踏み込んで説明するなら、ブランディングの原理原則の紹介です。

逆に言えば、具体的にどんな施策でブランディングをするのかという How の話はあまり書かれていないのでそこは注意が必要です。

前置きはこのくらいにして、さっそく自分が大事だと思ったポイントを引用をメインに紹介していきます。

引用の順番は本文の順番と前後する場合がありますのでご注意ください。

ブランディングとは?

ブランディングの究極の目的は、相手に「好き」になってもらうことである。(まえがきより)
まったくゼロの状態から、関心を持たせ、興味を抱かせ、好きにさせる。これこそがまさにブランディングなのである。(2章より)
では、ブランディングとは何か?
相手に「この企業や製品にはこういう魅力がある」と思ってもらうこと。
これが正解ではないかと私は考えている。(1章より)
大事なのは、「自分が伝えたいこと」ではなく、「相手がどう感じ、どのようなイメージを抱くのか」のほうなのである。(1章より)
本人が何をどう主張しようが、それは周囲の評価とあまり関係がないのだ。(4章より)
このように、何をどうすればお客さんが想像力を膨らませて、自分たちや自社製品に対して好ましいイメージを持ってくれるか、知恵を絞って考えていくのがブランド戦略なのである。(2章より)

そもそもブランディングとは何かは本の各所で言及されています。

ついつい「自分が伝えたいこと」ばっかりに気が行きがちですが、ブランディングの本質はむしろ逆で、「相手にどう思ってもらうか」なんですね。

そこから逆算して、どうやったら相手に意図したように思ってもらえるかが大切とのこと。

ブランディングは人の心を動かすもの

企業が製品を売るのも、ひとりの人間が異性の心をつかむのも、メカニズムは一緒だ。なので、どうしたら売れるかを知りたければ、どんな人がモテるかを考えてみるといい。(1章より)
何もせずに相手が自分のことを理解してくれるなどということはない。誰かに「これを知らしめたい」「このことだけはわかってほしい」と思うなら、どうやったらそれが伝わるか必死で考えることだ。(1章より)
必ず成功するブランディングの方程式などない。(1章より)
人の心は機械のように、これをこうすれば必ずこう反応するというものではないからだ。(2章より)
データというのは時に役に立つが、しょせん全体の一部を切り取った単なる数字でしかない。それなのに、ビジネスに必要なすべての情報はデータを見ればわかると思い込んでいると、肝心なものを見逃してしまう。
だから、ブランディングにおいても、「生きている人間」をちゃんと見ることが重要なのだ。(1章より)
われわれの考えるブランディングは、あくまで人がベースだ。手間はかかるけど、その手間は決して裏切らない。(1章より)

ブランディングは相手の人がいて成り立つものなので、人間の思考や感情のような不確実な要素が入ります。

なので機械的なものとして考えてしまうのは危ないんですね。

本ではモテる人のたとえも使われていますが、営業や採用でも似たような考え方ができますよね。

正解のない中での効果的な方法の見つけ方

まず、狙った相手に関心を持ってもらう。
これがブランディングの一丁目一番地だ。
どんなに大声で叫んでも、関心のない人の耳には届かないから、好きになってもらうこともできない。
そして、人はそう簡単に振り向いてくれない。だからこそ、工夫や戦略が必要なのである。(1章より)
思考停止に陥ったらブランディングなどできない。なぜなら、ブランディングの答えは、考えることでしか発見できないからだ。(1章より)
その結果、これは効果があるという方法が見つかった。
それが「真似」だ。(1章より)
このときに大事なのは、「余談を持たずにただ真似る」ということ。売れている理由を分析するのはあとでいい。この時点であれこれ考えていても。的を得た答えなど出ないからだ。(1章より)
思うに、いまの日本人はビジネスをきれいにやろうとしすぎるきらいがある。だから、模倣よりもオリジナルにこだわりがある。(1章より)

正解のない中でどうやって効果的な方法を見つけるのかという考え方が自分にはすごく刺さりました。

正解がないからって思考停止せず、考えることが大切。

やり方が分からないときは、上手い人の真似をすることが一つの手ということです。

ブランディングは「未来への投資」

このとき、イメージの中には「現在」だけでなく、必ず「未来の自分たち」の姿が含まれていなければならない。
なぜなら、「未来への投資」というのがブランディングの本質だからだ。(1章より)
そして、この未来への投資は、決して重要だけど緊急度が低い課題ではない。重要度も緊急度も高い、いますぐ取り組むべき課題なのである。(1章より)
ということは、投資した分が回収できるのも今日、明日ではないということだ。
逆に言えば、投資金額を短期で回収することしか頭にないと、効果的なブランディングはできないということになる。(1章より)

ブランディングの醸成には時間がかかるため、未来の時間軸も考えていく必要がありますね。

企業におけるインナーブランディングとは

「ブランディング」という言葉から一般の人が連想するのは、企業や製品のイメージを広告宣伝や広報活動などによって対外的に広めていくという活動だろう。
それはそれで間違いではない。
だが、正確にいうと、それは「アウターブランディング」のことで、ブランディングにはもう一つの大事な側面がある。

それが、「インナーブランディング」だ。

これは、採用・教育・福利厚生・評価制度といった企業内のすべての部門や活動を連動させながら、社内にひとつのブランドイメージを構築する側面である。(2章より)
インナーブランディングとアウターブランディングは、いってみれば車の両輪。どちらが欠けても望ましい結果は出ない。(2章より)
評価制度もインナーブランディングの大事な要素だと言うと、たいていびっくりされる。(2章より)
自分たちが働くことで、会社のこんな想いが実現できる。
そうすれば、世間の会社に対するイメージも、こういうふうに変わっていく。(2章より)

インナーブランディングという概念は目から鱗でしたが、言われてみれば確かに大切な要素ですよね。

本にはもうちょっといろいろ書いてあるので、気になる方は読んでみてください。

ブランディングのキモ

言葉を信頼しすぎない(4章より)
「ここがすごい」と思わせるポイントをつくる(4章より)
先に大風呂敷を広げるのもあり(4章より)
本人の主張と周囲の評価はあまり関係ない(4章より)
ブランドは社員から生まれる(4章より)
大事にする想いと社員の日々の働き方をつなげる(4章より)

本文の小見出しが要約になっているのでただ並べただけになっています。

詳細は本を読んでいただければと思いますが、中でも印象的なフレーズを追加で引用しておきます。

だから、平均点は目指さなくていい。
その代わり、何かひとつ突出した部分をつくるのである。
そうすると、そこを捨てて、人は勝手に「ほかもすごいに違いない」と創造してくれるのだ。(4章より)
未来は誰にも見えません。だから想像するのです。
こなりたいと想像するから、それを形にするにはどうしたらいいかという道筋がはっきりするのです。
人は想像したものしか形にできません。想像もせずに、いったいどんな価値を世の中に提供できるのでしょうか。(4章より)

ブランディング策定の基本的な進め方

①ブランドコンセプトの明確化
②ブランドの具現化
③ブランドを浸透させるための社内環境づくり
④ブランドイメージの浸透度を可視化
⑤共感を生み出すコンセプトやストーリーを社外へ発信
(4章より)

How の話なのであまり詳しくは説明されていませんが、方程式はなくとも型は見つかっているという話のようです。

まとめ

ブランディングは「自分が伝えたいこと」ではなく「相手にどう思ってもらうか」を考えることが大事。

その相手は人間なので、これをやったら必ずこう思ってもらえる、というような方程式は存在しない。

それでもどうやって相手に好ましく思ってもらえるか常に考え続けるしかない。うまくやっている人の真似をすることも有効。

ブランドの醸成には時間がかかるものなので、未来への投資として広い時間軸で考える必要もある。

企業では外への発信のアウターブランディングだけでなく、企業内のインナーブランディングも大切になる。


いかがだったでしょうか?

本ではこれらの内容に加えて、著者の経験を交えた話もそこそこの量ありますが、もし気になる話があればぜひ読んでみてください。

今後は個人のキャリアのブランディング、採用広報におけるブランディングなどにこれらの考え方を適用してみたいと思っています。

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