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仕事にまつわるエトセトラ

本日1月13日、晴れてチェリーピッキング、および待ちに待ったオーストラリアでの労働デビューを果たすことが出来た。

屋外での単純作業でかなり辛いかと思いきや、あっという間の一日だった。仕事内容は、担当する木から全てのチェリーの実を摘み、箱に入れ、箱の中身がいっぱいになったら次の箱に入れていく、という至極シンプルなものだが、案外これがコツのいる作業で、1人で一日25箱ほどこなす人もいるなかで我々夫婦の本日の成果は2人合わせて19箱、という惨敗ぶりである。噂によると中には1人当たり一日50箱をこなす日本人カップルもいるらしい。伝説のチェリーピッカーになるのは夢のまた夢といった状況である。

ただ、やっと仕事を始められたこと、そして仲良くなった宿の顔ぶれと一緒に働けて真の仲間入りを果たしたような感覚になったこともあってか、今現在はかなり晴れ晴れとした気分で疲労感を満喫している。

ただ一点問題があるとすると、今日が私にとって最初で最後のチェリーピッキングになるかもしれないということである。
今週は、仕事にまつわるあれこれで本当に振り回された一週間だった。

事の発端は今から3日前、人材派遣会社から「1月11日から始まる予定だったチェリーピッキングの仕事がまた延期になる。開始日は未定」という衝撃のメッセージを受け取ったことである。このニュースは、12月31日からタスマニア島に放たれ、「でもまあ11日からは働けるから…」を合言葉に、お昼は2ドルのドーナツで食い繋ぎながらなんとかここまで暮らしてきた私たちに精神的打撃を与えるには充分すぎた。

さすがにもうこれ以上は待てない。この際ファームジョブでも都会のアルバイトでもなんでも良いから仕事を探さなければ!

そうと決まれば話は早い。翌日11日、我々夫婦は最寄りの文明ことホバートへと向かい、レジュメ(海外における履歴書)を大量に印刷して手当たり次第に配った。夫婦2人とも営業経験があって良かったと思う日がタスマニア島で来ようとは。リクルートもビックリの飛び込み営業祭りである。

加えて、ファームジョブを紹介してくれるまた別の人材派遣会社への登録も行なった。仕事とは全く関係ないが、ここでの簡単な運動能力診断で、夫と自分の握力が左右ともに全く同じであることが判明する。まさかオーストラリアで自分の握力を褒められるとはこれまた想定外である。

そして翌日12日、前日配ったレジュメを見てくれた寿司屋から私宛てに電話がかかってきた。レジュメ配りは100件配っても連絡が来るか来ないかだと聞いていたので、本当に運が良かったのだろう。
電話口で志望理由を聞かれ、「海外でエセ寿司を握った経験があればドイツでもバイトしやすくなるかな〜」なんてムツゴロウが生息できそうなぐらい浅い理由でレジュメを残しましたとは口が裂けても言えず、「日本の食文化を海外に広めたい」ともっともらしい大義名分をつらつらと語ったところ、来週月曜に面接およびトライアルを行ってくれることになった。

一方、ファームジョブについても進捗があった。12日の夕方ごろ、元から契約していた方の派遣会社が、職のない我々をさすがに哀れに思ってか、翌日からの元々予定していたものとは異なるファームでのチェリーピッキングジョブを紹介してくれたのである。とにかく一日でも早く働き始めたい私たちにとってはまさに渡りに船で、早速この仕事を受けることにした。そして冒頭のチェリーピッキングデビューに繋がった次第である。

もちろん来週の面接およびトライアルがどう転ぶかによるが、もしそのまま私が継続してタスマニア島の寿司屋で働けることになった場合、今日が自分にとってのチェリーピッキング初日にして最終日だったことになる。夫婦の間でもよりファームジョブに前のめりだった私のチェリーライフが1日ぽっきりで終わる可能性があるなんて、運命とは数奇なものである。

来週の自分がどんな生活をしているかも全く分からない。もしかすると、この不安定さも、海外で一から生活を築いていく一つの醍醐味なのかもしれない。

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