親とか生まれとか関係なく、自分の道を生きたい
先日、こんな記事を書きました。
父親はギャンブル依存症。
家のお金がいつのまにかなくなっていくような家庭でした。
一人っ子で逃げ場がなくて。
ひたすら親の機嫌をうかがって、悪い空気を感じとったら、“空気”になる。
父親の依存症がわかった19歳頃まで、ずっとそうして生きてきました。
それがきっかけで、うつになってしまったこともありました。
そんな環境に生まれたことを、実家を出てからも憎んでいる自分がいました。
でも、そんな苦しさがふっと軽くなるような小説に出会いました。
恩田陸 著『夜のピクニック』
ある高校の、“歩行祭”という80kmを丸一日かけて全校生徒で歩き切るという行事のお話です。
(この先ネタバレありなので、これから読む方はとばしてね)
主人公はふたり。
西脇融という男の子と、甲田貴子という女の子です。
ふたりは異母兄弟で、融のお父さんが浮気してできた子どもが貴子。
ふたりとも、自身が生まれた経緯に怒りや罪悪感を抱えてる。
だから、同じ学校、同じクラスになっても一度も話すことはなく、目が合えば睨んでしまうような関係でした。
その関係とかわだかまりが、歩行祭の1日間を通してほぐれていって、やっと兄弟として話せるようになるというストーリーです。
物語の中に、こんな一節があります。
わたしたちは、親も、生まれる環境も選べない。
でも、それって「その環境に縛られないといけない」っていうこととはイコールじゃないと思うんです。
融と貴子がいがみあわずに話せたように。
親や環境に関わらず、自分の生きる場所を選んでいい。
自分の関わりたいと関わったらいい。
自分ではどうしようもないことって、わたしたちの周りにたくさんあります。
でも、その全てを背負ってしまうんじゃなくて、もう少し自由に生きてもいいんじゃない?
そんなふうに、優しくすくい上げてくれるような小説に出会えました。