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別離

ぬけがらが積み重なっている
何度も一体になった後はいつもクシャクシャにされ
乱雑に放り込まれた

ぬけがらになってから待ち遠しいのは
偽物の花の香りに包まれ
頭を冷やす事だった

いいえ
私は嘘をついていた

偽の花の香りも冷たく痛い水も一体になることも
全部キライだった

ただ、ただ、自分を愛したかった

唯一、真実なのは
自分がどこにも逃げないこと
裏切らないことだった
裏切る時が来るのはそれはロマンチックな心中

ぬけがらではない自分なら愛せると思った
やり直しはいつでもできるから

コインランドリーにぬけがらを入れて
私が死ぬ日まで花の香りの中で永遠に回らせておこうと思う

回っているぬけがらは恍惚とした表情だった
なんの疑いもなく夢を見ていて愚かしい
私はその姿を「愛おしい」と哀しく思った

涙が落ちる次々と
両腕を広げ外へ駆け出す
少しずつ速度を上げる
走る
私は素っ裸だった

あーあーあーあーあー

まるで遠くの宇宙まで自分の声が届きそう

私は笑っていた
気づいていたら笑っていた

どこに行っても自分を愛して行こうと思える


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