冬沢こたつの短歌と背景 part.7

自作短歌の紹介・解説記事第７弾です。

前回、前々回の記事と同様に、12月に詠んだ短歌から抜粋しました。
ここら辺からいつどんな時に詠んだのかはっきり覚えていない短歌も増えてくるんですが、12月分はあと１回分ストックがありますので、次回に続きます。

駅前のイルミネーションを抱きしめて…

駅前のイルミネーションを抱きしめてこの最悪を照らしてほしい

こちらの記事で挙げたコンセプトから、新しく作った短歌です。

追記の部分にこの短歌ができるまでの流れ、狙いなどすべて書いてあるので正直もう書くことがないのですが、「イルミネーション」にたどり着いたきっかけについては書いていなかったので、それについて少し。

僕の住んでいるところでは、冬のシーズンになると駅前で結構豪華なイルミネーションが行われるんですが、それが本当に大好きで…
昔はイルミネーションをわざわざ見にいく人の気持ちがわからなかったし、あまり心が躍らなかったんですが、生活の中にイルミネーションがあるとすごく豊かな気持ちになるんですよね。
いつか引っ越すことになっても、イルミネーションのある街に住みたいなあ。

余談ですが、ineというバンドのまかやは友達にヤンキーがすごく多い（本人は別にヤンキーじゃない）んですが、「ヤンキーはピカピカ光るものをすべてかっこいいと思っているので、イルミネーションを見ても『カッケー！！！』と思うらしい」という話がめちゃくちゃ好きです。賢く面白い友達です。

食べれない物と飲めない飲み物と…

食べれない物と飲めない飲み物と分かり合えない人ばかりの部屋

12月頭だったか、GumGirlのふるやさんと四丁目のアンナのディスコと久しぶりに遊んだとき、最近短歌を始めたんだよ〜なんて話の延長でその場で2人と短歌を詠み合いまして、そこで自分が詠んだ短歌になります。テーマは「居酒屋」でした。

偏食でつまみも食べられない、酒もろくに飲めない、酒の席でギャーギャーと盛り上がっている人たちとは合わない、という自分の３重苦を詠みました。実際人とワイワイ話すのは大好きなんですが、居酒屋という空間、本当に苦手なんだよなあ。すごく冷めた視点で流れるように言葉にできたこともあり、結構気に入っています。

不協和音だって名前は付く案外…

不協和音だって名前は付く案外アルペジオなら綺麗に響く

せっかくバンドやってるし、なんかそういう短歌も作るか〜と思って考えた一首。前述のバンド仲間2人といちごつみを始めるにあたって、最初の短歌として出したものでもあります。

不協和音っていけないものみたいに思えるけど、実際にリリースされている曲とかの中でも、実は結構使われてたりするんですよね。効果的に使えば結構いい演出になりますし。

あと、コードってCとかCm7とか名前がつけられてるんですけど、一つの名前に対しての実際の音の重なりは１パターンじゃないし、めちゃくちゃな和音にも名前ってつけようと思えばつけられるんですよね。同じ和音にも解釈によって違う名前がついたりもするし、便宜上付けられてるみたいなもんで…詳しいことは俺には説明できませんが…

で、もう一つ、不協和音って一斉に鳴らすよりもバラバラに弾いた方が綺麗に聞こえるんですよね。ぶつかり合う相性の悪い音が散らばって、嫌な響きが薄れるので。

ここまで当たり前のことをぼんやり説明してきたんですけど、「とにかく世の中、相性悪い組み合わせでもやりようによってはいい化学反応起きるよ」的なことを言っていると思ってもらえればよいです。

この短歌にはあまり愛着がなく、すごい冷たい説明になってしまい申し訳無いです…

幸せは数えきれない程あって…

幸せは数えきれない程あって花束の中にはかすみ草

かすみ草、最近人に教えてもらって覚えました。前にも誰かに教えてもらった気がするけど、あんま生活に花がなくて定着していなくて…

白くて小さいたくさんの花、花束に入れると見栄えがいいということも知りました。確かにかすみ草が入っている花束は豊かで可愛らしい。これから花束を贈るときはかすみ草を入れるようにしてみよう、と思った次第です。

そんなかすみ草と同じく、幸せも数えきれないほどたくさんあって、それぞれは小さくても生活に彩りを与えてくれてるんだよなあ。花束って自分の中では本棚と同じで「その人のすべて」「感性の表れ」みたいなイメージがあって、そういう感覚で詠んだ短歌です。

カーテンを閉めずに寝れば太陽が…

カーテンを閉めずに寝れば太陽が全部燃やしてくれると思った

こちら、うたの日に投稿した短歌です。お題は「死」。

題詠って本当に苦手で今まで挑戦してこなかったんですけど、この辺りから挑戦していこうかな、と思ってうたの日を始めました。うたの日っていうのは、歌会（出した短歌の中からみんなで１位決めるやつ）ができるSNSです。そんなことを言っておきながら、これは作り溜めておいたストックから出しました…

これは本当にうだつの上がらない生活を送る自分の、祈りの短歌です。燃やしてくれという話です。ちなみに寝るときは完全に部屋を真っ暗にするタイプです。

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初回の記事と前回の記事はこちらです。